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合格のカギは「韋編三絶」 元財務官僚・山口真由さんが教える勉強法

山口真由さん

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 元財務官僚、ニューヨーク州弁護士、大学特任准教授とさまざまな肩書を持つ山口真由さん。そのキャリアは、数々の難関試験をクリアしてきた証左でもある。東京大生の時は3年時に司法試験に合格。卒業時は学業成績優秀者に贈られる「総長賞」を受賞。米ハーバード大ロースクール修了――。果てない学習意欲はどこから来るのか。合格のコツは。いろいろ教えてもらいました。【聞き手・三木陽介】

 ――学習意欲が身につくかどうかのポイントは?

 ◆小学校ぐらいまでに親がどんな環境を作ってあげられるかが学習態度や意欲に影響すると思います。これは自分の体験に加え、ハーバードに留学していた時に優秀な同級生といろいろ話した中で確信したことです。

 ――山口さんの家庭はどんな感じだったんですか。

 ◆両親とも「~しなさい」と押しつけるような言い方はしませんでした。その代わり複数の選択肢を示して子ども自身に考えさせていました。主体性を身につけさせるため自分で決める機会を与えることを意識的にやっていたと聞きました。

 例えばリンゴの皮むき。母は「むきなさい」とは言わず、「むいてみる?」。そして「むけるようにならなくてもいいけど、その場合は誰かにむいてもらわなきゃならない。タダでやってもらえると思わないこと。ちゃんと勉強して自分で稼げるようになりなさい」。それでも私が「むいて」とお願いしたら、否定せずにこう言うんです。「むけなくてもいいけど、その分他で頑張って社会に貢献してね」。価値観というか指針を示してくれることで、自分で考える癖がつくようになったと思います。

 ――他に親にしてもらったことで良かったことは。

 ◆とにかく褒めてくれました。「あなたは言葉を覚えるのが早かった」とか「表情が豊かだ」とか。多少オーバーに言っていたと大人になってから聞きましたが。テストの点数が悪くても「途中までは合っていた」とプロセスを評価してくれる。それが「私はできるんだ」という謎の自信を植え付けてくれました(笑い)。「ポジティブ洗脳」ですね。

 ――そのやる気が勉強に向いたのはなぜですか。

 ◆日々の生活習慣が大きかったと思います。親がルーティンを重視していたので、食事は毎日ほぼ同じ時間に家族と一緒にとっていました。夕食なら午後6時か6時半、それからテレビを見て、その後、子どもは勉強する、というのが生活のリズムだったから、好きとか嫌いじゃなくて、それを守るのが当たり前という感じでした。だから、机に何時間向かっていても苦ではなかったですね。小さい頃の習慣づけが大切だと実感しています。

 ――勉強には国語力が大切だとおっしゃっていますね。

 ◆全ての教科の基本は「読み書き」だと思います。テストでは、まず問題文を読んで理解できないと解けませんよね。そして、答えを文章で表現することが求められます。そのために大切なのは本を読むこと。私は小さい頃からとにかく読書が好きでした。それは親が本を読んでいる姿を小さい時から見ていたから私も読んでみようと思ったことと、親が絵本の読み聞かせをたくさんしてくれたことが影響していると思います。

 ――読書が苦手な人はどうすればいいですか。

 ◆とにかく我慢して繰り返し読んでみてほしい。もしその本が難解でもあっても勉強に必要なら何度でも読んでみる。例えば、マクロ経済学に関する本を読もうとすると最初は全然頭に入ってきません。それでもいいんです。1回目はざーっと読んでみる。2回目、3回目も同様に。何回か重ねていくうちに、急に文字や論理構造が頭に飛び込んでくる瞬間があるんです。教科書も同じです。歴史の教科書なら、地域ごとに飛び飛びで書いてありますが、何度も読んでいるうちに、日本、ヨーロッパ、アジアの箇所がすーっと立体的につながる瞬間がある。一度でもその経験を味わえると、またいつかそういう瞬間が来ると信じて我慢できます。

 ――解けない問題は悩まず答えをみることを薦めていますね。

 ◆「問題が解けない」「分からない」とつまらないものです。考えても解けない問題にずっと向き合うのは苦痛なだけです。その場合はあきらめて解説を読み、答えを書き写す。それを繰り返していけば、ある時、自分で解ける瞬間が来ます。その気持ちよさ、成功体験がやる気につながります。司法試験では選択肢の中から答えを選ぶ「短答式試験」がありますが、受験勉強の時、分からない問題は悩まずに答えをみて覚えることを繰り返しました。

 ――覚える時のコツはありますか。

 ◆手を動かすことです。それによって体が覚えるようになります。スポーツ選手が技術を体で覚えているのと同じです。解答用紙に文章を書く時でも、字の大きさや字の間隔をどれぐらいにすればいいのか、事前に手を動かして書いておけば本番でも同じことをすればいいのです。

 私が司法試験を受けた時のことですが、終了10分前に、答えを見直していたら、問題文を読み誤り、見当違いの答えを書いていたことに気づいたことがありました。一瞬頭が真っ白になりましたが、試験官に新しい用紙をもらい猛スピードで書き直し、無事クリアできました。受験勉強で何度も何度も書き続けてきたおかげで手が覚えていたことが奏功したと思います。書き続けたことで私の右手の中指には大きなペンだこがありました。それを触ると、「私はこれだけやってきたんだから大丈夫」と不思議と落ち着けたのも大きかったですね。

やまぐち・まゆ

1983年生まれ、札幌市出身。2006年東京大法学部卒業。同年4月に財務省に入省し、主税局に配属され主に国際課税を含む租税政策を担当した。08年に退官し、09~15年、弁護士として法律事務所に勤務。15年9月からハーバード大学ロースクールに留学し、16年8月卒業。17年6月にニューヨーク州弁護士に登録された。17年4月から東京大大学院法学政治学研究科博士課程に進み、20年3月修了。20年4月から信州大特任准教授。コメンテーターとしてテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、CBCテレビ「ゴゴスマ」、毎日放送「ミント」に出演。

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