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与謝野寛・晶子、最後の挑戦 文芸誌「明星」の精神継ぐ「冬柏」 堺で企画展

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宮元尚旧蔵の「冬柏」原本=宮元家所蔵(熊本・多良木町収蔵)
宮元尚旧蔵の「冬柏」原本=宮元家所蔵(熊本・多良木町収蔵)

 歌人の与謝野寛・晶子夫妻が中心となり、近代短歌の新時代を築いた明治期の文芸誌「明星」。その後継誌として昭和初期に誕生した「冬柏(とうはく)」は、「明星」の再興をかけた2人の最後の挑戦であり、両者の没後も門弟の手で刊行された。戦火をくぐりぬけ、歌人たちが守り続けたのは個性と自由の精神に貫かれた表現の理想郷。創刊90年を経た今、「冬柏」に光を当てた企画展が晶子の地元・堺市にある「さかい利晶の杜」で開催中だ。

晩年の2人を知る貴重な資料

 晶子が愛したツバキを意味する「冬柏」は、寛が主宰する「新詩社」の月刊機関誌として1930年に創刊。35年に寛が、42年には晶子が亡くなったが、その志は弟子たちに受け継がれ、52年まで刊行された。晩年の2人を知る貴重な資料である一方、「近代短歌史の中でほとんど評価されてこなかった」と本展担当の森下明穂・学芸員。昭和初期はライバルのアララギ派が歌壇の主流だったことに加え、「明星」に比べて地味な装丁や著名な執筆者が少ないことなどが理由だという。だが2017年から20年にかけて全26巻が復刻されるなど、近年その価値が見直されつつある。

 本展はその「冬柏」の全容に迫る画期的な内容だ。展示室には創作に対する2人の思いや覚悟を…

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