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医療逼迫の奈良、緊急事態再発令には否定的 滋賀は宣言要請を視野に

新型コロナウイルスの院内感染が発生し、コロナ専用病床の運用延期を余儀なくされた大和郡山病院=奈良県大和郡山市で2020年12月、久保聡撮影

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて13日夕、大阪、京都、兵庫の3府県にも緊急事態宣言が再発令される。ただ、大阪への通勤・通学者が多い奈良県では8日に新規感染者が56人と1日当たり過去最多を更新。病床使用率は深刻な状況で、一般診療にも影響が出始めている。同県内では大阪府から約2週間遅れて感染者数のピークを迎える傾向があり、医療関係者からは宣言を求める声が上がる。大阪の他に京都へも通勤・通学が多い滋賀県は知事も宣言要請の可能性に言及し、情勢を見極めている。

 「コロナ病床を増やすと地域医療がかなり圧迫される。どういう影響が出るか把握しているのか」

 2020年12月17日、奈良県や医療機関、医師会などの幹部が出席した新型コロナの連絡会で、中心的役割を担う県立医大付属病院(同県橿原市)の医師が県幹部に詰め寄った。県はこの1週間前、感染者の急増を受けて県内の医療機関にコロナ病床を増やすよう要請。これに反発した発言だった。

 県は自宅療養を認めず、無症状者も含めた感染者全員を医療機関か宿泊療養施設に収容している。複数の医療機関でコロナ専用増床に伴う一般病床削減や手術延期などのしわ寄せが発生。当初、150床の確保を求められた県立医大付属病院は一般病床への入院やコロナ以外の患者の手術を6割程度に減らしている。他院から重症者の受け入れ要請も多く、病院幹部は「ぎりぎりの状態だ」と語る。

 こうした声を受け、荒井正吾知事は12月25日に医療機関の幹部と協議。コロナ病床の確保目標を467床から358床に大幅に減らし、付属病院も当初予定から約70床減った。だが、大和郡山病院(大和郡山市)がコロナの院内感染で受け入れを一時中止する事態になり、1月3日には県全体で対応可能な324床に277人が入院、病床使用率は一時85%に達した。県は宿泊療養施設を増やして軽症者の一部も受け入れることで改善を図るが、現場からは「容体が急変した場合に対応できるのか」と不安の声も上がる。

 だが、緊急事態宣言の再発令について荒井知事は4日の記者会見で「大都市とは違い、宣言を期待する県ではない」と否定的な見解を示し、その後も要請への動きは見せていない。これに対し、県医師会の安東範明副会長は「奈良も発令を政府に要請すべきだ」と訴えた。その上で「新規感染者数をいつまでにどのくらい減らしたいのか、そのためにはどの程度の制限をどれくらいの期間必要とするのか。理論疫学的に検討し、明確に示して対策を講じるべきだ」と話した。

滋賀知事は「非常事態だ」

 一方、滋賀県の三日月大造知事は12日の定例記者会見で「医療体制は逼迫(ひっぱく)しており、非常事態と言わざるを得ない」と述べ、感染が更に拡大すれば「宣言の対象地域に加えるよう要請しなければいけない」との認識を示した。12日現在で30%となっている県内の重症者用病床の使用率が50%を超えるかどうかを「一つの指標にする」としている。

 同県では全体では12日現在で239床に207人が入院し、県は月内に280床を確保する方針。2月初旬をめどに宿泊療養施設を増やす他、これまで宿泊療養施設で受け入れていた65歳未満の軽症・無症状者は今後、医師の判断で自宅療養も可能とする方針だ。

和歌山知事は「要請する必要ない」

 和歌山県では新型コロナ感染者用に確保している病床272床の使用率は50%未満だが、県福祉保健部の野尻孝子技監は「50%に近付いている」と危機感を示す。大阪府など県外に出て感染した人が多いと言い、大阪など3府県への宣言発令について「県外での接触が減り、感染者が減少することを期待したい」と歓迎する。仁坂吉伸知事は13日の定例記者会見で「現時点では保健医療行政(接触者の囲い込みなど)を一生懸命やっているので(緊急事態宣言を)要請する必要はない」と述べた。【久保聡、諸隈美紗稀、木原真希】

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