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新型コロナウイルスの影響で大会が大幅に減少した昨年、陸上男子5000メートルの高校記録を2度更新した石田洸介(18)=群馬・東農大二高=が12日、東洋大に合格した。進学の決め手は、監督として箱根駅伝総合優勝3回を誇る酒井俊幸監督の存在だ。石田は学校を通じ「酒井監督の下で世界を目指したい」とコメントした。
石田が「在学中の最大の目標」として掲げたのは、4年で迎える2024年パリ五輪。東洋大で活躍した東京オリンピック男子マラソン代表の服部勇馬(トヨタ自動車)や同1万メートル代表の相沢晃(旭化成)の名前を挙げ、「(箱根、出雲、全日本の)3大駅伝優勝はもちろん、その先の世界を目指し、服部さんや相沢さんをはじめとするOBの方々を超える選手になりたい」とも語った。
出身の福岡から縁もゆかりもない群馬へ。壁に挑み、そのたびに強くなった3年間だった。中学3年時に1500メートル、3000メートル、5000メートルの三つの「中学新」を出し、「スーパー中学生」と注目を集めた。東農大二に進んだのは選手の自主性を重んじる城戸口直樹監督の指導方針にひかれたからだ。「将来につなげるステップ」と自ら選択した。
入学後、結果は出なかった。全国高校総体出場を逃し、駅伝も県予選で敗れた。「記録を持っている以上、宿命を背負わないといけない。中学の自分を引きずり過ぎていた」。苦しむあまりに「表に出たくない、行き場がない、陸上をやめたいと思っていたくらい」と追い詰められていた。
助けを求めたのは12年ロンドン五輪5000メートル代表歴のある佐藤悠基(SGホールディングス)。中学時代にテレビで共演した縁のあるベテランに「モチベーションを保っていられる原動力は何ですか?」と尋ねた。佐藤の答えは「小さい目標を立てて一つずつクリアしていくことかな」。焦りが消えて、スランプを脱するきっかけとなった。
最終学年の今年度は大きく飛躍するシーズンとなった。昨年7月の大会で5000メートル13分36秒89を出し、高校記録を約3秒更新。その直後に一大プロジェクトに加わった。マラソン日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)が主催する、大学生以下を対象にした合宿に参加。高校生では唯一だった。
大迫のメニューを基準とした練習に懸命についていった。期間中、積極的に大迫に質問した。すべての答えに「世界」を感じた。「『強くなるため』にずっとつなげていた」。合宿の約1カ月後の大会の5000メートルで大迫と同組になり、ラスト1周まで食らいついた。及ばなかったが、13分34秒74をたたき出し、自らの高校記録を更新した。
佐藤や大迫との出会いも、陸上という競技に真剣に向き合ったからこそ、得られた宝物だ。スランプでも支えてくれた仲間、見守ってくれた城戸口監督にも感謝しきれない。だが、高校3年間の集大成として臨んだ昨年末の男子第71回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)は「花の1区」を任されて大会屈指の注目選手として期待されたものの、区間14位に終わった。「落ち込んでいる暇はない」。きっとまた強くなれる。それを知っているからこそ、立ち止まるつもりはない。【生野貴紀】
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