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過去から現在に至る精神のありようを探る
◆『もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年』小山聡子・著(中公新書/税別900円)
「真景 累ヶ淵」など怪談噺(ばなし)でも知られる大名人・三遊亭円朝は「(文明)開化先生方」と皮肉ったそうだ。私はその端くれなので、正直なところ、「お化け・怪異」などの話は科学的研究の対象になるわけがない、と初めから切って捨てる態度を取っていた。だが、それは全くの誤りである。本書を読めば、直ちに分かる。
先日、沖縄のリゾートホテルに向け、車を運転していた。街灯はなく、周囲は真っ暗。反射板だけが道の存在を示していて、何も見えない。車のライトは時折、道沿いの亀甲墓を照らし出す。そんな状況で、ああこの地域では先の戦争で多くの方が犠牲になったのだなあ、と考えた途端に背筋が凍りついた。妻子が同乗していなかったら、運転を放棄していただろう。
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