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恋ふらむ鳥は

/195 澤田瞳子 画 村田涼平

「孕(はら)み鹿だったゆえ、大田(おおた)のためにも捕らえたかったのだがな。まだ母鹿の胎(たい)におる仔(こ)鹿の肝は、万病に効くと聞いたゆえ」

 葛城(かつらぎ)の長女であり、同母妹の讃良(さらら)同様、大(おお)海人(あま)の妃(きさき)となっている大田王女(ひめみこ)が病臥していると耳にしたのは、この春先。容体を問うた額田(ぬかた)に、「よくはない」と葛城は空を仰いだまま答えた。

「先だっても伊賀(いがの)宅子娘(やかこのいらつめ)を見舞いに遣わしたが、顔は鉛色に変じ、食もほとんど通らぬそうだ。その癖、もう元気になったと繰り返し、無理やり臥所(ふしど)から起き出そうとするので、あまりの痛々しさに見ておられなんだ、と宅子娘は嘆いておった。――のう、額田」

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