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コロナ対策と罰則 不安にあおられぬ議論を

 新型コロナウイルス感染症対策で、政府が罰則の導入を検討している。18日召集の通常国会に関連法の改正案を提出する。

 入院勧告や保健所の調査に応じない人に、感染症法を改正して罰金を科すことを検討している。営業時間の短縮要請などに協力しない事業者には、コロナ対策の特措法を改正し過料を設ける方針だ。

 罰則は私権の制限に関わる問題だ。人権を尊重し、制限を必要最小限にすることが欠かせない。不安にあおられることなく冷静に議論すべきだ。

 感染症法では、患者が出歩いて感染を広げないよう入院を勧告できる。だが、病床の逼迫(ひっぱく)で宿泊や自宅療養をしている人が、無断で外出する例がある。

 この場合は入院を勧告し、応じなければ100万円以下の罰金を科す方向だという。感染拡大防止の実効性を高めるのが狙いだ。

 ただ、こうした例が対策に差し障るほど多いかは分かっていない。政府は実態を分析し、具体的に説明すべきだ。

 罰則導入は感染者への差別助長につながりかねない。体調が悪くても受診を控えるケースも想定される。家庭の事情で入院が難しい人もいる。しゃくし定規な対応は避ける必要がある。

 事業者への過料を検討するのは、営業時間短縮などの要請に応じない店が増えているためだ。

 だが、現行法でも要請より強い「指示」を出すことや店名公表が可能だ。まずはこうした対策を尽くし、その次の段階で罰則を考えるべきだ。

 協力を得にくいのは、事業者が自粛による経済的な打撃を恐れているからだろう。「協力金制度」を拡充する方が、罰則より効果を上げられるのではないか。

 感染拡大で不安が高まる中で罰則の議論をすると、どうしてもそれを強める方向に傾きがちだ。罰則を設けたとしても、感染が収束した段階で検証し、見直す必要がある。

 首都圏1都3県を対象に発令された緊急事態宣言は、大阪府など関西3府県にも拡大される。

 これまで、政府や自治体の対策には遅れが目立った。そのツケを事業者や国民に押しつけるような罰則の導入であってはならない。

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