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米司法省は13日、絞殺した妊婦(当時23歳)の胎児を奪って誘拐したとして、死刑判決を受けたリサ・モンゴメリー死刑囚(52)の刑を中西部インディアナ州の刑務所で執行した。同州の連邦地裁が11日夜、精神障害の影響で「本人が執行を理解できていない可能性がある」として延期を決めたが、連邦最高裁が執行を認めた。連邦政府による女性の死刑執行は67年ぶり。トランプ政権による死刑執行は半年あまりで11人に上っている。
米国には連邦レベルと半数以上の州に死刑制度があり、連邦レベルでは2003年以降、執行されてこなかった。トランプ政権は昨年7月、17年ぶりに執行を再開。11月の大統領選前までに7人に執行し、政権移行期に入っても3人に執行した。米国では政権移行期に死刑を執行しないのが130年以上の慣例だったが、任期切れ直前にモンゴメリー元死刑囚の執行も強行した。バイデン次期大統領は死刑廃止を公約しており、政権交代まで7日だった。
弁護団は、モンゴメリー元死刑囚が、幼少期から継父らから激しい性的虐待を受けるなどして精神障害を引き起こし、それが事件につながったと主張。今も重い精神障害があるモンゴメリー元死刑囚の刑執行は違憲だとして、執行停止と仮釈放なしの終身刑への減刑を求めていた。インディアナ州の連邦地裁以外でも執行延期の判断が出たが、最高裁が退けた。最高裁判事9人のうち、リベラル派の判事3人は執行に反対したが、トランプ大統領が指名した3人を含む保守派6人は執行を認めた。
弁護人のケリー・ヘンリー氏は「類似の事件で死刑になった女性はおらず、彼女はそもそも死刑を宣告されるべきではなかった。執行は正義からかけ離れている」との声明を出した。
判決などによると、モンゴメリー元死刑囚は04年12月、ミズーリ州で妊娠8カ月だったボビー・スティネットさんを絞殺。腹から胎児を取り出し、誘拐した。裁判後、現在の弁護団の調査で、幼少期からの虐待や重い精神疾患を発症していたこと、家庭裁判所や児童相談所も対応しなかったことが明らかになった。弁護団によると、そうした事実は裁判当時の陪審員にはほとんど説明されていなかった。【ニューヨーク隅俊之】
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