米国はバイデン次期米政権の発足を機に、ロシアが大国同士の競争相手であることを改めて認識し直すべきだ。両国は核兵器によって30分で双方の文明を破壊する力を持つ。軍事衝突のリスクを減らし、責任を持って競争を管理しなければならない。
トランプ大統領自身はプーチン露大統領に融和的な態度だったが、政権下では対露制裁が強められ、両国関係は冷え込んだ。一方で、トランプ氏が欧州との関係を悪化させたのは、米欧の分断を図ってきたロシアにとって好都合だった。
バイデン次期大統領は北大西洋条約機構(NATO)強化の必要性を訴え、人権問題についてもより強い態度でロシアに臨む。ロシアにとっては望ましくない面もある。ただし、一貫性のなかった米国の対露政策は安定し予測可能になる。米国の同盟国も、現実的な米露の対話を求めており、バイデン次期政権はロシアと実利を重んじた関係を築こうとするだろう。
新政権の発足後、すぐに求められるのが、2月5日に失効する新戦略兵器削減条約(新START)の延長だ。米露間に唯一残された核軍縮の枠組みで、規定されている最長の5年間の延長が望ましい。将来の軍備管理のあり方をじっくり協議する必要がある。核の世界が多極化するなか、軍拡に突き進む中国の参加もいずれかの段階で求められる。
この協議は、…
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