新型コロナウイルスで、映画界も大きな打撃を受けている。映画館も製作現場も、感染対策で光景が変わり、配信と急接近。これまでの枠組みが揺らいで、変革の契機ともなりそうだ。2021年の映画界を占うカギとなる人に話を聞く。
1回目は、全国の映画館を束ねる全国興行生活衛生同業組合連合会のトップに就任した、佐々木伸一会長に登場願った。昨年春の映画館閉鎖から年末の「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」の大ヒットまで、激動の1年だった。
――20年は激動の1年でしたね。
19年は映画界の興行収入が過去最高の2611億円、年間観客動員数も1億9491万人と好調でした。20年は、映画界の目標である2億人をいよいよ達成かと機運が高まっていたのですが、コロナ禍で吹き飛びました。
緊急事態宣言解除後は、ガイドライン作りに追われました。感染リスクをゼロに近づけるために、経済産業省や厚生労働省などと協議し、全興連も相当数の実証実験を重ねました。業界一丸でガイドライン順守を徹底し、映画館ではクラスター(感染者集団)が一件も発生していません。
――それでも夏以降はヒット作が出て、年末には「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が興行記録を塗り替えました。
邦画の話題作が続いたこともあって、客足の戻りは想定以上でした。観客が来るかどうか分からない段階で公開を決めた製作委員会や配給会社にとっては、勇気のいることだったと思います。作品を提供してくれたことに感謝したい。
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」も興収100億円はいくだろうと思っていましたが、これほどとは。コロナ禍で上映作品が減り、多くのスクリーンで上映できたということも理由でしょうが、作品に力がなかったら映画館がカラで回るだけです。ただ、他の作品に広がるかは課題でしょう。1本のヒット作が映画鑑賞の習慣につながって好循環していた時に比べると、弱いのかもしれません。
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