北朝鮮で開かれた朝鮮労働党大会で総書記に就任した金正恩(キムジョンウン)氏は米国を「最大の主敵」と呼び、バイデン次期政権を圧迫してみせた。その強硬発言にも増して平壌ウオッチャーの私が気になったのは初めて公開された元帥服姿の写真だ。見覚えがある。そして違和感も。軍服に込めた正恩氏の思いとは――。
大きな額の前に党大会の参加者が集まっている。金色の額縁のなかに書棚を背にした正恩氏がいる。真っ白な軍服、肩章は元帥を表すひとつ星。机には双眼鏡、銃剣、房つきの元帥杖(じょう)らしきものもある。5日、平壌の4・25文化会館で開幕した党大会を伝える翌日の朝鮮中央テレビのひとコマだが、この写真(精巧なコンピューターグラフィックスの可能性もあるが)には正直、驚いた。2011年12月に父、金正日(キムジョンイル)氏の急死で最高指導者となって10年目、正恩氏は元帥服はおろか、軍服で公の席に現れたためしはない。ほとんどが人民服、たまに式典でスーツを着用するくらいだった。
だが、既視感がある。朝鮮戦争時代の金日成(キムイルソン)主席が重なるのだ。1950年6月の戦争勃発から人民服で通していた金主席は53年7月の停戦協定文書調印のとき、元帥服に変わる。戦争勝利を祝う平壌市群衆大会、続く朝鮮人民軍閲兵式も同じ元帥服、右手を上げ笑顔で応えている。正恩氏の肝煎りで平壌に完成した祖国解放戦争勝利記念館の玄関ホールには、このシーンを模した金主席の立像がそびえているが、プロパガ…
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