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新型コロナ 府内・2020年の行事 今こそ祭りの意義、感じる /京都

北野御霊会で北野天満宮の本殿に向かう同宮の神職と比叡山延暦寺の僧侶ら=京都市上京区の北野天満宮で2020年9月4日、川平愛撮影

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 コロナ禍に翻弄(ほんろう)された2020年、古くは平安時代に起源を持つ府内の祭りや宗教行事も大きな影響を受け、密集を避けるために中止や規模縮小、初めての形式での開催が相次いだ。その一方で疫病退散祈念など祭り・行事本来の意義が再認識され、不安な世相の中で、人々の心に一定の平穏をもたらしもした。【矢倉健次】

コロナ禍、できることを

 4~5月に出された緊急事態宣言は「京都三大祭り」を直撃した。葵(あおい)祭はヒロインの斎王代(さいおうだい)が選ばれず、京都御所―下鴨神社―上賀茂神社を華やかな女人列などが練り歩く「路頭の儀」や関連の流鏑馬(やぶさめ)神事、御祓(みそぎ)神事などが中止となった。本祭(5月15日)は両神社を天皇の使い・勅使が訪れて国家安寧、疫病退散を祈願するなど静かに執り行われ、石清水祭(八幡市)、春日祭(奈良市)と並ぶ三大勅祭(天皇の命令による祭り)の一つであることが、強く印象づけられた。

 祇園祭は前祭(さきまつり)(7月17日)、後祭(あとまつり)(同24日)とも山鉾(やまほこ)巡行が中止となり、30基を超える山鉾が市中に建てられることはなかった。両日夜の神幸祭、還幸祭で3基の神輿(みこし)が八坂神社を出ることもなかった。

榊を手に徒歩で四条通を巡行する前祭の山鉾代表者ら=京都市で2020年7月17日、矢倉健次撮影

 一方で、関係者によって「何か代わりになること」が模索され、故事などを参考に各山鉾の代表者が山鉾に見立てたの依代(よりしろ)としての榊(さかき)を手に、徒歩で巡行し四条寺町の御旅所から神社を遥拝(ようはい)。神輿の代わりも榊に祭神の神霊を移した神籬(ひもろぎ)を馬の背に乗せた行列で御旅所まで渡御。さらに同18~23日には御幣に神霊を移して氏子地区をくまなく回り、24日に神籬が八坂神社へ還る御神霊渡御は大雨の中、多くの関係者が神社前に集まり、おのおのが行事を盛り上げた。

 壮麗な山鉾の影に隠れがちだった神事の側面が例年になくクローズアップされ、厄よけや人々の健康を願う関係者の思いは胸に迫るものがあった。

 時代祭(10月22日)も、京都御苑から平安神宮まで約2000人が練り歩く時代行列が中止となり、祭神の桓武、孝明両天皇の神霊を移す鳳輦(ほうれん)2基を境内で公開するなど、境内での行事に終始した。

 他にも鞍馬寺の竹伐(たけき)り会式(えしき)(6月20日)、由岐神社の鞍馬の火祭り(10月22日)、千本釈迦堂の大根焚(た)き(12月7、8両日)などが中止となった。

 しかし、五山の送り火(8月16日)は点火場所を大幅に減らし実施。御影(みえい)堂の大規模修理が終わった知恩院や東西本願寺は、団体参拝の制限などで主要な法要の規模を大幅に縮小せざるをえなかったものの営まれた。八坂神社の特別神事・祇園御霊会は3回あり、祇園祭起源となった地でもある神泉苑であった3回目(6月14日)は明治初期の神仏分離以降初めて神式・仏式合同だった。北野天満宮でも延暦寺と合同で神仏習合による北野御霊会(9月4日)が約550年ぶりに再興され、本殿で天台座主が祭文を読み上げ、天台宗最高の修行とされる「山門(法華)八講」もあった。いずれもコロナ下で、できることをやりたいという宗教関係者の思いが形になったものだ。

 感染は拡大し、緊急事態宣言も再発令された。21年の世界がどのような姿になるか見通せない状況だが、祭り・宗教行事の役割はむしろ大きくなっているのではないだろうか。


 ◆2020年に中止となった主な祭り・宗教行事◆

 【葵祭】

流鏑馬神事(5月3日)

御禊神事(5月上旬)

本祭・路頭の儀(5月15日)

 【祇園祭】

お千度の儀(7月1日)

くじ取り式(7月2日)

前祭山鉾巡行、神幸祭神輿渡御(7月17日)

後祭山鉾巡行、還幸祭神輿渡御(7月24日)

 【時代祭】

時代行列(10月22日)

 【その他】

東寺・弘法市(4~10月の21日)

北野天満宮・天神市(4~9月の25日)

壬生寺・大念仏狂言(4月29日~5月5日)

県神社・梵天渡御(6月5、6日)

鞍馬寺・竹伐り会式(6月20日)

由岐神社・鞍馬の火祭り(10月22日)

千本釈迦堂・大根焚き(12月7、8日)

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