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激動の世界を読む

ポピュリズム後退後の政治 試される民主国家の連帯=北海道大公共政策大学院長・遠藤乾

6日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で警官隊と衝突するトランプ大統領支持者ら。その後、議事堂内へとなだれ込んだ=AP

 5年近くに及ぶドラマの幕が下りた。2021年は、仕切り直しとなろう。

 16年の英国民投票、トランプ米大統領選出は衝撃的だった。先進民主国が自滅行為を繰り返す悲劇は、まるでとどまるところを知らないようだった。フランスの右翼政党「国民連合」のルペン党首、「ドイツのための選択肢(AfD)」、イタリア右派「同盟」のサルビーニ書記長はみな、先進国が抱える政治リスクを指さしていた。

 トランプ氏が扇動した任期最後の米議会占拠は、このドラマのフィナーレを飾る断末魔の叫びである。

 しかし、先進国の民主政は、ひどく傷みはしたものの、壊れはしなかった。いわゆる極右ポピュリズム勢力は、西欧諸国ではほぼ一様に人気を落とし、勢いに陰りがある。

 何より一大中心国のアメリカで、バイデン氏が大統領に選出されたのが大きい。個人的な利益を国益や同盟国に優先させるトランプ氏がさらに4年政権を担うのに比べれば、はるかに米国や世界にとってマシになるはずだ。

EU様変わりに

 欧州連合(EU)や英国にとっても、今年は仕切り直しとなる。4年半にわたり両者を振り回したEU離脱劇は、移行期も終わり、混乱の少ない貿易協定等が成立することで完了した。英国は、いまや一域外国である。

 ジョンソン英首相は、離脱を成し遂げ、「主権を取り戻した」と意気揚々だ。ただし、そのコストは後払いである。すでに、国境でのチェックは追いつかず、生鮮食料の調達に影響が出ている。これから英国は約5000人の税関職員を必要とし、多くの企業や渡航者に従来不要だったペーパーワークを強いる。

 そのコストは、行きつくところ、連合王国の空中分解かもしれない。スコットランドは、EU離脱を望まず、それをイングランドが押しつけた格好だ。英領北アイルランドは、一つの島をアイルランド共和国と共有しているなか、民族・宗教紛争を抑えるため、北アイルランドとアイルランドの間に国境検問を設けづらい。結果、北アイルランドは、当面EU離脱後の連合王国の中で唯一、EU単一市場の規制下にある。これも、英国内の遠心力につながる。

 EUも21年には様変わりとなろう。16年の長きにわたり中心国ドイツの宰相を務めたメルケル氏が、…

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