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トランプ米大統領(共和党)の支持者が昨年11月の大統領選の結果確認阻止を狙い連邦議会議事堂に乱入した事件を受け、下院は13日、トランプ氏の罷免を求める弾劾訴追決議を可決した。過半数を占める民主党に加え、共和党から10人が賛成に回り、賛成232、反対197で可決。トランプ氏は2019年のウクライナ疑惑をめぐる決議に続き、2回の弾劾訴追を受けた米史上初めての大統領となった。
決議の条項は「反乱の扇動」の一つ。6日に起きた乱入事件の前に、支持者に対し議会へ行進し議員らに圧力をかけるよう促したトランプ氏の演説をはじめ、大統領選の結果の「転覆や妨害」を図る言動が暴力を扇動したと指摘し、「米国とその統治機構に深刻な危険をもたらした」として罷免を求めている。
一般事件の訴追状にあたる決議の可決を受けて、今後は上院でトランプ氏の有罪・無罪を判断する弾劾裁判に進むが、トランプ氏の任期が満了する20日までに裁判が開かれる見通しは立っていない。事件の責任を明確化し、トランプ氏が将来、公職に就くことを阻むため、バイデン次期政権(民主党)の発足後に裁判を開く案も浮上している。弾劾裁判の有罪評決には3分の2以上の同意が必要。
下院での決議可決後、トランプ氏はホワイトハウスが発表した演説動画で「暴力を明確に非難する。我々の運動に、暴力や破壊行為の居場所はない。事件の惨状に衝撃を受けた」などと述べ、自身の関与を改めて否定した。弾劾訴追についての言及はなく「全国民に感情的な対立を克服するよう呼びかける」とも語った。
一方、民主党下院トップのペロシ議長は「たとえ大統領であっても、法を超越しないと示すことができた。ドナルド・トランプ氏は『今そこにある危機』だ」と強調。本会議での採決後、決議の署名式で語った。
19年にはトランプ氏が政敵であるバイデン次期大統領に関する捜査を進めるようにウクライナに圧力をかけた疑惑が発覚。民主党が多数を占める下院は同年12月、「職権乱用」などの条項により弾劾訴追したが、共和党が過半数の上院は20年2月に無罪評決を下した。当時は弾劾訴追の是非の審査開始から訴追決議まで約3カ月を要したが、今回の決議は事件発生から1週間でのスピード可決となった。【ワシントン高本耕太】
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