毎日新聞
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群馬県大泉町が町内の小中学生と保護者を対象に実施した「子どもの生活実態調査」で学習の理解状況を尋ねたところ、「ほとんどわからない」「あまりわからない」と回答した子どもや保護者は、年収350万円未満の世帯で計27・7%に上った。350万円以上や年収未回答の世帯は半数以下の計12・8%だった。経済格差が子どもの学習理解に影響している可能性があり、同町が対策に乗り出す。
調査は、同町と高崎健康福祉大の研究プロジェクトが2019年9~10月、小4~中3の児童生徒と、小1~中3の子どもがいる保護者を対象に実施。児童生徒1889人(回答率90・8%)、保護者1886人(同61・2%)から回答を得た。町内にはブラジル人が多く、回答者のうち260人はポルトガル語の調査票で答えた。
学習の理解状況を尋ねたところ、「よくわかる」と回答したのは、年収350万円以上や年収未回答の世帯の子どもや保護者で22・5%に上ったが、350万円未満では半数の11・7%だった。
クラスでの成績の自己評価については、「下のほう」「少し下」と答えたのが350万円未満で計46・3%に上ったが、それ以外の世帯は計28・6%にとどまった。「上のほう」「少し上」と答えたのは、350万円未満で計20・6%、それ以外では計33・9%となり、収入が低い世帯の子どもは自己評価も低い結果となった。
また、成績の自己評価には、家庭での食事環境や食事内容とも相関が見られた。家族と食べるグループでは、成績を高く評価した割合(30・4%)と低く評価した割合(34・1%)が同程度だったが、一人で食べたり食事を取らなかったりするグループでは、高く評価したのはわずか8・4%で、70・3%が低く評価していた。
食事を家で調理するグループで成績を高く評価したのは31・8%、低く評価したのは31・2%と、こちらも同程度だったのに対し、コンビニ弁当やレトルト食品が中心のグループでは、高い評価が18・6%、低い評価が46・5%と差が開いた。
低収入世帯は保護者に食事を準備したり、だんらんの時間を持ったりする余裕がなく、子どもの学力にも影響していると推測される。
一方、同町では17年から食事支援と子どもの居場所づくりを兼ねた「子ども食堂」を町内4カ所に設置している。今回、認知度を調べたところ、350万円未満の52・1%が「知らない」と答え、必要な人に情報が適切に伝わっていない実態が明らかになった。
研究代表者で高崎健康福祉大の岡本拡子教授は「貧困がもたらす子どもへの影響を最小限にするため、教育的、福祉的な支援が不可欠だ」と指摘する。同町は既に取り組んでいる子ども食堂と2カ所の無料学習教室について周知方法を改善するほか、さらなる支援策を検討するという。
また、調査は新型コロナウイルスの感染拡大前に行われており、岡本教授は継続調査や県全域での実態把握の必要性も訴えている。【鈴木敦子】
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