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トランプ氏、弾劾再訴追 民主政治損ねた重い責任

 トランプ米大統領の罷免を求める弾劾訴追決議が下院で可決された。「反乱の扇動」が理由だ。支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件をあおったとされる。

 乱入は、大統領選で勝利した民主党のバイデン氏を次期大統領に認定する審議の妨害が目的だったという。

 決議は、トランプ氏が直前に「われわれが勝利した」などとうその発言をし、議事堂での「不法行為」をたきつけたと指摘した。

 野党の民主党はトランプ氏を「今そこにある危機だ」と訴え、与党の共和党からも10人が賛成に回った。深刻な事態への危機感を共有したからだろう。

 トランプ氏は2回の弾劾訴追を受けた初の大統領となる。退任間際というタイミングも異例だ。上院での弾劾裁判は新大統領が就任する20日以降に始まるという。

 焦点は、トランプ氏の発言と「反乱」との因果関係だろう。決議は、結果として「米国とその統治機構を重大な危険にさらした」と結論付けている。

 トランプ氏は反乱を促す意図はなく適切だったと反論している。しかし、問題なのは、そのときの発言だけではない。

 選挙には「膨大な不正」があるとして訴訟を連発した。判決で退けられると激戦州の当局者に結果を覆すよう圧力をかけた。

 こうした言動は民主政治の根幹を損ねるものだ。公正な選挙結果を否定し、承認を妨害しようとする振る舞いこそが問われている。

 有罪評決には上院100人の3分の2の同意が必要だ。共和党内にも大統領選再出馬を封じようと支持する議員がいる。ただし、共和党から17人が賛成しなければならず、見通しは立っていない。

 仮に無罪になったとしても責任がなくなるわけではない。弾劾に反対する共和党議員にも「トランプ氏に責任がある」との認識は広がっている。

 大統領就任式に合わせて支持者らが全米各地で暴動を起こすという不穏な情報もある。首都ワシントンも州兵が大量動員され、厳戒態勢が敷かれている。

 トランプ氏は虚偽の主張をやめ、敗北を認め、権力の平穏な移行を訴える必要がある。それが大統領としての最低限の責任だ。

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