阪神大震災後、あめ細工師になった女性 死を思いとどまらせた亡き父との記憶
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水あめを指と和ばさみでさまざまな動物に形作る日本の伝統工芸「あめ細工」。神戸市兵庫区の馬場みのりさん(44)が15年前、あめ細工師の道を選んだきっかけは、阪神大震災(1995年)直後に60代で亡くなった父との幼いころの思い出だった。新型コロナウイルスの感染拡大でイベントなどに出演する機会が失われ、パートナーと営む写真館の仕事も激減したが、「人を笑顔にしたい」という思いを胸に歩を進める。
95年1月17日、兵庫区にあった馬場さんの自宅は半壊。水道工事業を営んでいた父は約2週間後、被災した顧客を回っている途中に倒れて帰らぬ人になった。震災後、修繕工事に休む間もなく、過労死だったとみられる。仕事一辺倒だったが、けがをしたハトやスズメのひなを拾って帰る優しい父だった。突然の別れを悲しむひまもなかった。
高校3年だった馬場さんは専門学校へ進学。21歳でクレープの移動販売を始めた。イベント会場などを回っていたが、6年ほどして経営に行き詰まる。食べるものにも事欠き、身長157センチで37キロまで体重が落ちた…
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