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NHKの経営計画 視聴者本位の改革なのか

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 公共放送としてどのような役割を果たそうとしているのか。単なるスリム化だけではなく、具体的な将来像を示すべきだ。

 NHKは来年度から3カ年の経営計画に、受信料を2023年度に引き下げる方針を盛り込んだ。

 値下げの原資には700億円程度が充てられる。今年度末で1450億円を見込む剰余金を主に活用する。

 昨年8月に発表した計画案では、受信料を据え置くと記していた。唐突感は否めない。

 菅義偉首相の意向を受けた武田良太総務相は、コロナ禍の家計を圧迫しているとして、値下げを繰り返し要求していた。

 携帯電話料金の値下げに続き、菅政権は国民へのアピールポイントにしたかったのだろう。

 視聴者にとっては歓迎すべきことだが、NHKが自律的に決める問題だったのではないか。

 値下げが適用される期間は今後、検討するという。値下げ幅や方法も示されておらず、具体性に欠ける。収支状況などを見極めるというが、十分に議論されたようには見えない。

 一方でBS波やAMラジオの削減方針が示された。それを含め550億円規模の支出を減らす。

 チャンネル数を増やし、現在9波を持つことに対し、民放から「肥大化」との批判は強い。

 ただ、BSの良質なドキュメンタリーの評価は高く、AMラジオの豊富な語学講座番組は熱心なファンが多い。NHKだからこそ可能なものであろう。帳尻合わせの削減になってはならない。

 ネット活用も視野に入れているというが、受信料が値下げされても放送サービスの質が低下するようでは、逆に視聴者離れを招きかねない。

 視聴者が受信料の割高感を感じる背景には、NHKへの不信が拭えないこともあろう。

 かんぽ生命保険の不正販売を追及した番組を巡り、NHK経営委員会による介入の疑いが持ち上がった。権力を監視するメディアとしての役割を忘れてはならない。

 公共放送が提供すべき番組は何か。それが、いま問われている。視聴者に納得して受信料を払ってもらうには、コンテンツを通して信頼を得るより他に方法はない。

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