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鶏卵汚職

大臣在任中に賄賂として現金を受け取ったとして、吉川貴盛元農相らが在宅起訴されました。背景を探ります。

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吉川元農相を在宅起訴 公判で癒着の全容解明を

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 自民党衆院議員だった吉川貴盛元農相が、収賄罪で在宅起訴された。農相在任中、広島県の鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの秋田善祺元代表から、現金500万円を受け取ったとされる。

 賄賂の認識はなかったと主張しているという。しかし、大臣が業界関係者から現金提供を受けること自体、言語道断だ。一部は大臣室で渡されたとされる。

 業界団体のリーダー格だった秋田元代表から、家畜をストレスのない状態で飼育するための国際基準案に、政府として反対するよう依頼され、見返りに賄賂を受け取ったというのが起訴内容だ。

 政府系金融機関から中小養鶏業者への融資についても、便宜を図るよう依頼されていたとされる。

 吉川元農相はこれ以外にも、秋田元代表から5年間で計1300万円を受け取っていたという。ただ、職務権限がない時期だったため、立件されなかった。

 長年にわたる現金授受を介した癒着が、畜産行政をゆがめた可能性がある。今後の公判で、全容を解明しなければならない。

 捜査が進む中、吉川元農相は衆院議員を辞職した。在宅起訴後にコメントは出したが、事件の詳細には言及していない。速やかに事実関係を説明すべきだ。

 東京地検特捜部は、吉川元農相の逮捕を見送った。心臓の手術を受けたことなどから、逃亡の恐れは低いと判断したためだ。

 贈収賄事件で、政治家が逮捕されなかったのは異例だ。

 捜査では、西川公也元農相も秋田元代表から現金を受け取っていた疑いが浮上した。ほかにも、複数の国会議員への現金提供が取り沙汰されている。

 「農水族」議員と養鶏業界の不適切な関係がうかがわれる。政策決定に影響はなかったか、農林水産省は検証する必要がある。国会も真相の究明に取り組むべきだ。

 安倍晋三前政権下では、河井克行元法相、妻の案里参院議員、秋元司元副国土交通相が逮捕、起訴された。閣僚経験者がまたも刑事責任を問われたのは、長期政権のおごりと緩みの表れだろう。

 コロナ禍で政治への信頼が揺らいでいる。政府・与党は、「政治とカネ」の問題に真摯(しんし)に向き合わなければならない。

【鶏卵汚職】

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