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中村桂子・評 『医師が死を語るとき 脳外科医マーシュの自省』=ヘンリー・マーシュ著、大塚紳一郎・訳

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『医師が死を語るとき 脳外科医マーシュの自省』
『医師が死を語るとき 脳外科医マーシュの自省』

 (みすず書房・3520円)

医療現場の実感と向き合う

 新型コロナウイルスのパンデミックで社会を支えるさまざまなシステムの脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになったが、中でも大きな課題が医療崩壊である。メディアを通して医療現場の声を聞く機会がふえ、日頃から医療の重要性を認識してはいても、医療従事者が何を考え、どう行動しようとしているかを知ろうとしていなかったことに気づいた。当事者も生々しい声を発することは抑制してきたのではないだろうか。このような時に限らず、医療現場はさまざまな生と死とが交錯する場であり、人間として関心を持つべきところである。

 ロンドンの病院で三〇年以上脳外科医を務めた著者は、現場での悩み、判断、行動などを包み隠さず語る。原題は『告白』であり、日本語標題にあるように、とくに死に向き合う時の心の動きが率直に描かれ、共に考えるよう誘われる。今読む本だ。

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