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鴻巣友季子・評 『存在しない女たち』=キャロライン・クリアド=ペレス著、神崎朗子・訳

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『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』
『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』

 (河出書房新社・2970円)

男性を基準に設計された世界

 新元号選定の有識者会議の報道を見て啞然(あぜん)とした。「経済界」「法曹界」などの枠(全員男性)の他に「女性」という枠が示されていた。女性とは多くの男性にとって、共同体のどんな分野分類にも属さない他者であるのか。ここで思いだすのは、ボーヴォワールの『第二の性』の一節だ。「人間とは男のことであり、(中略)男は“主体”であり、“絶対者”である――つまり女は“他者”なのだ」。男性が基準(デフォルト)であり、女性は逸脱した変異型だというのは、古来の考え方だ。

 『存在しない女たち』の原題は、Invisible Women(見えない女性たち)。この世界が、いかに男性を基準にして設計されてきたか、いかに女性の心身のありようを無視した上に成り立っているかを、無数のファクトとデータをもとに明らかにする圧巻の著だ。以下のテーマが繰り返し現れてくる。(1)女性の体の問題 (2)女性による無償ケア労働 (3)男性による女性への暴力。

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