コロナは政治を変えたのか 中北教授が読む与党の「慢心」と野党に欠ける「帆」

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一橋大の中北浩爾教授=東京都千代田区で2020年12月18日、竹内紀臣撮影
一橋大の中北浩爾教授=東京都千代田区で2020年12月18日、竹内紀臣撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、今年は衆参補選や東京都議選、そして衆院選も控えている。コロナ禍の政治情勢と今後の政局などについて、現代日本政治論が専門で、自ら永田町を歩く取材もしている一橋大大学院社会学研究科の中北浩爾教授に話を聞いた。【聞き手・木下訓明】

「政治権力の強さはコロナの感染拡大を抑える要因では必ずしもない」

 --コロナ禍での日本と世界の政治情勢をどう見ていますか。

 ◆この間、コロナの感染拡大の原因として政治指導者のリーダーシップが大きく影響していると考えられている。しかし、少し立ち止まって考えないといけない。結局、頻繁な手洗いやマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、移動の自粛など、国民が適切に行動することが感染防止の鍵になってくる。人々がそうした行動をとるよう権力をもって強制することはある程度は可能だが、そこには大きな限界がある。

 例えば、中国は感染拡大を強権的に封じ込めたと報じられている。ここから独裁国家の方が、コロナ対策を有効に実施できるという議論につながるが、学問的には否定されている。独裁国家でも中国やベトナムは封じ込めに成功しているけれども、ロシアやイランは失敗している。民主主義体制下でも、西欧諸国や米国はうまくいっていないが、台湾や韓国、日本もどちらかというと成功例に入っている。政治権力の強さはコロナの感染拡大を抑える要因では必ずしもない。

 封じ込めの成否を決めるのは、一つは過去にSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など感染症の深刻な被害を受けた経験があり、事前に準備ができていたこと、もう一つは国民の政府に対する信頼だ。民主主義体制と独裁体制のいずれであっても、政府への信頼が高い国と低い国がそれぞれ存在する。必ずしも独裁国家だからといって国民が言うことを聞くわけではない。

 日本の場合は政府に対する信頼が低くないことに加え、衛生水準の高さと社会的な同調圧力が作用しているのかもしれない。

第1波の「結果オーライ」が生んだ慢心と軌道修正の遅れ

 --この間の政府や政党の動きをどう評価していますか。

 ◆船橋洋一・元朝日新聞主筆が理事長を務める一般財団法人「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(API)の「新型コロナ対応・民間臨時調査会」がまとめた報告書では、政府の対応が「場当たり的であった」と指摘されている。近年、深刻な感染症に見舞われなかった日本ではある程度、仕方がなかった。しかし、暗中模索した経験を踏まえつつ、次の段階に備えていくことが大切だ。そこに政治責任が生じてくる。第1波の後、…

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