アラブの春10年 イスラム過激派再び やまぬテロ、潜む勢力 帰還待つ戦闘員家族

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
過激派組織「イスラム国」が侵攻してきた当時について語るシリア難民のアフメド・シェイブリーさん=トルコ南部ガジアンテップで2020年12月8日、真野森作撮影
過激派組織「イスラム国」が侵攻してきた当時について語るシリア難民のアフメド・シェイブリーさん=トルコ南部ガジアンテップで2020年12月8日、真野森作撮影

 チュニジアを起点に2011年1月から中東各地へ広がった民主化要求運動「アラブの春」は、一部で市民に言論の自由などをもたらす一方、政治混乱に乗じて勢力を拡大するテロ組織の台頭も招いた。その代表が過激派組織「イスラム国」(IS)だ。ロシア軍や米国主導の有志連合軍の空爆などでISの「領土」は消滅したが、その影は今も各地で見え隠れする。【カイロ真野森作】

 ISの前身は国際テロ組織アルカイダ系の組織で、03年のイラク戦争によるフセイン政権崩壊後、イラクで活動を本格化させた。シリアに勢力を拡大したのは14年ごろ。「アラブの春」後の混乱に苦しむ中東諸国では、貧困や腐敗といった現実社会に絶望する若者がISの「国家を超えた理想のイスラム共同体を作る」との宣伝文句に引き付けられた。ISはフセイン政権の元軍人を含む数万人の戦闘員を擁し、14年以降はイラクとシリアの一部地域を支配して「疑似国家」を運営。シリア北部ラッカは「首都」と位置づけられた。

 「ISは市場で無差別に銃撃し、病院は負傷者であふれた。(シリア反アサド政権派民兵の)自由シリア軍メンバーの家族が住む住宅3軒が住民ごと爆破された事件は忘れられない」。ラッカ県タブカ出身のシリア難民、アフメド・シェイブリーさん(40)=トルコ南部在住=は、14年1月に故郷の町で直面したISの侵攻を克明に記憶している。

 ガラス店経営者から民主派活動家に転じていたシェイブリーさんに対し、ISは組織加入を迫ったという。断ると拘束され、地下室で拷問を受けた。運良く隙(すき)を突いて脱走できたが、…

この記事は有料記事です。

残り1134文字(全文1798文字)

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集