メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

コロナ下でも前を向いて、プレーを続けるバドミントンの奥原希望=東京・町田市立総合体育館で2020年12月25日

アスリート交差点2020

己と向き合う 五輪開催でも中止でも覚悟はいつも「前向き」=バドミントン・奥原希望

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京オリンピックは開催、中止どちらの可能性もあると覚悟しています。ネガティブに捉えているのではありません。後ろ向きな気持ちになりがちな今だからこそ、さまざまな立場の人に寄り添いながらポジティブに考えることが大切だと思います。

     五輪が開催できるかどうかを判断するのは本当に難しいと思います。国際オリンピック委員会(IOC)や政府などは私たちの知らない多くの情報に基づき、世界のためにどちらが良いのかと考えて決断すると信じています。開催できれば、アスリートの懸命なプレーに興奮したり、心を動かしたりしてもらえたらうれしいです。スポーツでしか伝えられないこともあると思っています。中止となれば、その時は「世界の人命を考えて決断してくれた」と一人の人間として前向きに受け止めようと心に決めています。

    コロナ下で行われた昨年末の全日本総合選手権の女子シングルスで2連覇を果たした奥原希望=東京・町田市立総合体育館で2020年12月27日

     開催するかどうか、いつまでに決めてほしいというのは選手本位の発想なので考えていません。それに合わせて体も心も整えてパフォーマンスを披露するのがアスリートです。

     五輪延期が決まった昨年3月から夏ごろまで、開催できるのではという気持ちが強く、中止の可能性は考えられませんでした。昨秋以降、徐々に感染が再び拡大するようになり、開催は厳しいとも思うようになりました。急増する感染者の数字という事実に、昨春と五輪イヤーの今回の緊急事態宣言では、五輪に与える影響の意味合いは違うとも思っています。

     私も含めて多くのアスリートは厳しい現状を理解しています。ただ、開催の可能性がある以上、その舞台を目指して毎日の厳しいトレーニングに取り組んでいます。大会がないと思えば肉体の限界まで追い込めません。選手の「五輪があると信じて練習します」というコメントの背景にはそういう思いがあります。決して自分たち本位で「五輪をやりたい」と言っているわけではないと分かってもらえたらと思います。

     1月初旬、ワールドツアーでタイへ向かう空港で同じ日本代表の桃田賢斗選手の陽性が判明し、派遣が中止となりました。誰もが感染する可能性があり、感染した人が悪いわけではありません。今後の大会や五輪でも新型コロナの影響で棄権となる可能性はありますが、「ウィズコロナ」で大会を開催する限り、仕方のないことだと受け入れています。誰かを責めても問題の解決にはなりません。すぐに気持ちを切り替えて前に向かっています。

     五輪は平和とスポーツの祭典です。もし、今夏に開催できればメダルを獲得したかどうかという結果だけでなく、スポーツ本来の価値が伝えられる大会になると思います。コロナ下でも前向きに目の前の一歩を見つめて、全力で走っていきます。=随時掲載

    おくはら・のぞみ

     長野県大町市出身。2011年の全日本総合女子シングルスで史上最年少(16歳8カ月)優勝。16年リオデジャネイロ五輪銅メダル、17年世界選手権優勝。太陽ホールディングス所属。25歳。