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「国公立大」学科別最終難易度 コロナでも難関大は志望者増、地方大が堅調

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1月16日に行われた大学入学共通テストで、九州大では試験教室の教壇に飛まつ防止のためのシールドが設置されていた 拡大
1月16日に行われた大学入学共通テストで、九州大では試験教室の教壇に飛まつ防止のためのシールドが設置されていた

 2021年度(21年4月入学)の国公立大の志望状況は、強気な現役生の存在により、難関国立大や医学部に手堅く志望者が集まっている。一方、準難関大は減少傾向の首都圏と堅調な地方の大学とで温度差があるようだ。

 21年度の国公立大の一般選抜は、志願者の減少が見込まれている。そうした中、最難関大を目指す受験生は強気で、志望者が減っていないようだ。河合塾教育情報部統括チーフの亀井俊輔氏が、国公立大の志望状況を説明する。

 「全体的に安全志向を感じますが、現役生を中心に難関大を避ける動きは見られません。旧七帝大に東京工業大、一橋大、神戸大を加えた難関国立10大学の志望状況は堅調です。医学部(医学科)志望の現役生も減っておらず、現役生のチャレンジ志向を強く感じる志望状況となっています」

 気になるのは、コロナ禍の厳しい環境で受験勉強を続けてきたこと。最難関の国立大を目指す受験生は、勉強の遅れによる不安はなかったのだろうか。ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の谷本祐一郎氏に聞いてみた。

 「難関国立大を目指す受験生の多くは、昨年4月の緊急事態宣言時の休校など、コロナ禍が勉強の進度に影響していないようです。このクラスの受験生は初めての共通テストも志望を揺るがす要因にはなっていません。20年度入試の超安全志向の反動もあり、難関大の志望状況が堅調なのです」

 本来は難関大を目指す受験生の学力は、1年以上のアドバンテージがある浪人生に分がある。しかし、コロナ禍の影響もなく、現役生の学力が浪人生を上回っているようだ。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。

 「難関大志望者の成績を見ると、現役生が浪人生を圧倒しています。東大実戦模試の英数国の平均偏差で、現役生が浪人生を上回りました。このような状況をこれまで見たことがありません」

 この背景には、大学入試改革を嫌う優秀な受験生が20年度入試で入学し、学力の高い浪人生が少ないこともある。いずれにせよ、21年度入試は、現役生優位の入試になることは間違いなさそうだ。

東大と京大の志望動向(前期日程) 拡大
東大と京大の志望動向(前期日程)

 難関国立大の志望動向から個別大学の状況を見ると、前年を100とした国公立大全体の志望者指数は88だ。そのため、指数が88を超えている大学・学部は、志望者が前年より増えていることになる。難関国立10大学で志望者減の大学はない。5ポイント以上増えている大学には北海道大、東大、東京工業大、一橋大、名古屋大、京大がある。

東大・京大以外の難関国立大の志望動向 拡大
東大・京大以外の難関国立大の志望動向

 中でも東大は、文Ⅱや理Ⅰ、理Ⅱの指数が100を超え、大学全体でも102と大きく増えている。難関国立10大学の中で東大に次いで志望者が増えているのは京大で97。総合人間、教育、医(医)、薬、農の指数が100を超えている。前出の石原氏は両大学の法学系に注目して、こう話す。

 「東大と京大ともに法学系で優秀な受験生が減少し、経済系で増えています。優秀な受験生はしっかり将来を見据えており、公務員バッシングや政治家の振る舞いなどを見て、法学部に魅力を感じないのでしょう。4年後は活発化しているであろう企業活動に期待する受験生が多いのだと思います」

 難関大の志望者が増える一方、コロナ禍で地方の受験生が減少していることもあり、首都圏の準難関大は志望者が減少している大学が多い。千葉大は前年を上回っているものの、筑波大やお茶の水女子大、横浜国立大などで減少している。倍率が下がりそうな大学が多い中でも、特に大きく下がりそうなのは横浜国立大だ。

 横浜国立大はコロナ禍を受け、大半の学部が大学入学共通テストの成績のみで合否判定をする。2次試験での逆転が不可能なことが志望者減の要因のようだ。ただ、共通テストの平均点が上がると、志願者が増えて厳しい入試になる可能性もあるので注意が必要だ。また、首都圏では準難関大の志望者が減少する一方、茨城大、宇都宮大、群馬大、東京海洋大、東京学芸大など、一般的な大学の志望者が増えている。

医学部は地域問わず人気が下げ止まりか

 地方の大学に目を転じると、首都圏とは対照的に、準難関大の志望状況が堅調だ。

 コロナ禍で大都市部の大学を受けず、地元に残ろうと考える受験生が多いことから、金沢大、岡山大、広島大、熊本大などの志望者は前年並みとなっている。

 そして、地域を問わず増えているのは、公立の医療系大学だ。背景には、受験生の安全志向および、景気に対する不安感による資格志向の強まりがある。

 学部別の志望状況を見ると最難関の医学部の志望者が増えている。その要因を東進ハイスクール広報部長の市村秀二氏が説明する。

 「コロナ禍に立ち向かう医師の姿を見て、医学の尊さを感じる受験生が多いのでしょう。近年、医学部の志願者は減り続けており、21年度も医学部の倍率が下がると言われていました。しかし、使命感を持つ受験生により人気が下げ止まったものと考えられます」

 国公立大医学部は、前期日程の志願者が6年連続で減少しており、その反動が大きいようだ。京大や北海道大、大阪大などで大幅増になるなど、医学部の志望者が減っている難関大はない。

 他の理系学部では、理工系の志望者が増えていない。特にプラスチックごみなどの石油製品へのネガティブなイメージから、化学系の志望者が減っている。農・水産系もここ数年の傾向が続いていて人気がない。

 情報系はコロナ禍でさらに注目度が高まっている。特に情報を活用し、さまざまな事象の解決を目指すデータサイエンス系は人気が高く、横浜市立大と滋賀大のデータサイエンスの志望者が増えている。文系学部の志望者は軒並み減少しており、倍率が下がる大学が多くなりそうだ。

 21年度の国公立大入試は、これからの伸びしろが大きい現役生中心の入試だ。2次試験までにどれだけ学力を伸ばし、ライバルに差をつけられるかが合格のカギを握りそうだ。【大学通信・井沢秀】

*「サンデー毎日」2021年1月24日号より転載。実際の誌面では河合塾、駿台予備学校、東進、ベネッセコーポレーションの国公立大各校の学科別最終難易度の表が掲載されています。

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