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カン、カン、カン――。ティー打撃でバットにボールが当たるリズミカルな音が、周囲を雪に覆われた屋内練習場に響く。ボールには丁寧に巻かれたビニールテープ。野球部と特別支援学校の交流から生まれた特別なボールだ。同部のエース福島蓮(2年)は「一球の大切さをより感じる」と話す。
八戸西は学校創立の1975年に野球部が創部され、2001年にはスポーツ科学科が設置された。公立校のため、平日は授業後2時間と限られた時間で効率的な練習を心掛け、16年春季青森大会で公立校では23年ぶりの優勝を飾った。初出場した昨年の秋季東北大会では、188センチの長身エース福島を中心とした堅守と強打で初戦の2回戦は福島商にコールド勝ち。準々決勝では花巻東に敗れたものの、甲子園常連校に1―2と接戦を演じた。
限られた練習時間とともに大切にしているのが特別支援学校との交流だ。同部OBで18年に就任した小川貴史監督(37)が県立八戸高等支援学校の教員であることがきっかけだった。特別支援学校では卒業後の生徒の働く意欲を育むため、農作業や食品加工などの作業学習がある。授業に野球部が参加し、生徒たちにストレッチを教えるなど交流を深めている。
そんな作業学習の一環で取り組んでいるのが、傷んだボールの補修作業だ。生徒は障害の程度に応じて硬球にビニールテープを巻き付けたり、古いテープをはがしたりする。物を大切に扱う心を養うとともに障害への理解も深まり、小川監督は「部員もさまざまなことを学べる」と話す。八戸高等支援学校の佐々木勇人さん(1年)は「テープがきれいに巻けると達成感がある。このボールを使って練習した野球部が勝ってくれると、とてもうれしい」と笑顔を見せた。
チームは交流の証しである特別なボールで打撃練習を重ね、昨年の秋季青森大会八戸地区第1代表決定戦では、青森大会優勝の八戸学院光星を安打数で上回った。特別支援学校の生徒とともに培った力で、初の甲子園へ。大舞台で喜びの快音を響かせようと、一球入魂でボールに向き合っている。【尾形有菜】=つづく
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