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アートの扉

国内各地の美術館が所蔵するイチオシの作品や、特設展の見どころを紹介します。

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大山エンリコイサム FFIGURATI#323 暗闇にうごめく描線

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2020年 アクリル性エアロゾル塗料、墨、黒鉛、キャンバス 縦3メートル、横2メートル=西野正将氏撮影
2020年 アクリル性エアロゾル塗料、墨、黒鉛、キャンバス 縦3メートル、横2メートル=西野正将氏撮影

 真っ暗な空間に入ってしばらくたたずむと、四角い形が見えてくる。ライトを浴びて輝く作品の画面とその影、隣の展示室の明るい開口部、床に反射して浮かぶ画面。いくつもの四角と、画面にうごめく線と形、それらが緊張感をもって空間を支えている。広い空間に、作品は六つだけだ。

 作家の核となっているのは、「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」というモチーフ。米国のストリートで生まれたエアロゾル・ライティング(スプレー塗料を用いた落書き)から、線の動きを抽象化したものだ。

 と聞くと、一気に仕上げたようだが、よく見ればキャンバス地の上には、さまざまな線が弾む。墨を入れた特殊なマーカーで一気に書き上げた線や、QTSの手法を用いて緻密に構築された造形。墨が垂れ、緩衝材を押しつけた跡もあり、書くことと描くことの間を周到に行き来する。

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