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SNSとトランプ氏 言論空間のあり方議論を

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 言論空間となったSNS(ネット交流サービス)の健全性をどう確保するのかが、問われている。

 ツイッターなどSNS大手が相次いでトランプ米大統領のアカウントを停止した。大統領選敗北を認めないトランプ氏に同調した支持者が米連邦議会議事堂に乱入した事件を受けた措置だ。さらなる暴力を扇動しかねないと判断したためという。

 トランプ氏は「言論の自由の侵害だ」と反発した。だが、そもそも言論の自由には責任が伴う。犯罪をあおるような発信で公共の利益を損なった責任は重い。米国内では「SNSからの排除は妥当」との受け止め方が多い。

 一方、欧州では企業の一存で排除が決定されたことを疑問視する声が出ている。メルケル独首相は「表現の自由にかかわる基本的権利の制限は法によるべきだ」との声明を発表した。

 フェイクニュースや人種差別などをあおる有害投稿への対応は、企業ではなく、社会の判断に委ねるべきだとの考えだ。欧州連合(EU)は有害投稿について、速やかに削除するよう義務付けるルールを整備し、SNS企業の管理責任を厳格化しようとしている。

 米国でも、SNSなどの運営企業が有害投稿を放置しても原則、法的責任が問われない法律の改正が議論されている。

 日本は他人を誹謗(ひぼう)中傷する投稿を巡り、SNS企業の免責ルールを見直す方向だ。

 SNSでは刺激的な投稿ほどフォロワーを集め、運営企業の広告収入も増える。有害ツイートを連発したトランプ氏は約8900万人のフォロワーを抱え、政治的影響力を高めた。ツイッターなどはこれを長年見過ごしてきた。

 慶応大学法科大学院の山本龍彦教授は「言論空間を担うSNS企業の社会的責任は重い。有害投稿への対応手続きを透明化し、削除やアカウント停止時には説明責任を尽くすべきだ」と指摘する。

 各社が取り組みを強化するのは当然だ。ただ、SNSでは日々、膨大な情報が発信されており、企業任せでは有害投稿の拡散を抑えきれない。利用者側が偽情報をきちんと見極めることも不可欠だ。ネット言論空間のあり方を幅広く議論していく必要がある。

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