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影山貴彦のテレビ燦々

同志社女子大学メディア創造学科教授・影山貴彦さんがつづるテレビにまつわるコラムです。

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影山貴彦のテレビ燦々

草刈正雄&神木隆之介「おじさまと猫」 安易な癒やしの対極にある秀作

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20日放送の「おじさまと猫」第3話の一場面。神田冬樹役の草刈正雄 Ⓒ「おじさまと猫」製作委員会 
20日放送の「おじさまと猫」第3話の一場面。神田冬樹役の草刈正雄 Ⓒ「おじさまと猫」製作委員会 

 <影山貴彦のテレビ燦々(さんさん)>

 世界的に高名なピアニストの神田冬樹(草刈正雄)は、1年ほど前に妻の鈴音(高橋ひとみ)に先立たれ、生きる気力を失っていた。そんな時、ペットショップで長らく売れ残っていた1匹のオス猫に出会う。お世辞にも可愛いとは言えない「ブサ猫」に一目ぼれした神田は、迷わず飼うことを決める。猫を一度も触ったことがない神田だったが、妻が生前飼いたいと言っていたことも思い起こし、「ふくまる」と名付けられた猫との共同生活が始まる。「ふくまる」の声を演じているのは、神木隆之介だ。なんとぜいたくなキャスティングだろう。

 妻を失った悲しみを引きずる男と1匹の猫との心温まるストーリー、と一言でくくるにはもったいない面白さだ。草刈と神木の力が何より大きい。主人公の孤独が徐々に癒やされていくプロセスや、愛されることを初めて知った猫がその喜びをかみ締める描写は、決して大仰でなく、だからこそ自然な形で見る者の心にしみ込むのだ。ユーモラスなシーンに思わず笑ってしまうが、それらは決して軽過ぎず、作品に深みを与える。演出の妙が光…

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