首相、施政方針で低姿勢に終始 「世論に振り回されている」漂う手詰まり感
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菅義偉首相が18日に行った施政方針演説は、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で、新型コロナウイルス禍の影響を色濃く反映した内容となった。内閣支持率の低下にも歯止めがかからず、政権運営には暗雲が漂う。秋までにある次期衆院選を控え、首相は正念場を迎えている。
コロナ対策では力なく釈明
「大変申し訳なく思う」。首相は施政方針演説の序盤でこう力なく語った。新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の外出自粛など「制約のある生活」を再び国民に要請せざるを得ない。2020年10月の所信表明演説で冒頭から「コロナ対策と経済の両立」を掲げ、「爆発的な感染は絶対に防ぐ」と自信を持って訴えた姿とは対照的だ。
アベノミクスを背景にした安倍晋三前首相の長期政権の成功体験を持つ菅首相の基本姿勢はやはり経済重視。新型コロナの感染を抑止した上で、旅行需要喚起策「GoToトラベル」などの推進で、経済を回復させるシナリオを描いた。それが感染拡大に直面し、GoTo停止などで「後手」批判を受ける悪循環に陥っている。
首相はこの日の演説で「効果的な対象に徹底的な対策を行っている」と強調したが、感染収束は見通せず、官房長官時代に定評があった危機管理能力にも疑問符がついている。毎日新聞と社会調査研究センターが16日に実施した世論調査では、菅政権のコロナ対策を「評価しない」が66%に増加。20年9月の政権発足当初に64%あった内閣支持率は33%にまで落ち込んだ。
首相は演説で「飲食での感染を抑え込むことが極めて重要だ」と訴えた。だが、世論調査では緊急事態宣言発令に伴う首相のメッセージが「伝わっていない」との回答が8割に上った。首相は演説で「今一度、国民の皆様のご協力を」と低姿勢で呼びかけるしかなかった。
「まず自分で」から「互いに支え、助け合える社会」に軌道修正
首相は20年の自民党総裁選や所信表明演説で「目指す社会像」として「まず自分でやってみる」と「自助」を強調した。しかし、新型コロナの感染拡大で支援を求める声は高まっており、この日の施政方針演説では「互いに支え、…
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筆者
竹地広憲
2006年4月入社。浜松、静岡支局を経て11年5月から東京経済部。15年5月から17年4月は中部報道センター経済グループ。電機、自動車、金融、流通業界のほか、金融庁や内閣府など官民の各分野を取材。19年5月から政治部。首相官邸や総務省などを担当し、20年春以降、新型コロナウイルスに関連する取材を続けている。
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1999年4月入社。秋田支局を経て2004年4月から政治部記者。東京経済部、大阪社会部、北海道報道部でもそれぞれ取材。
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