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劇団四季新作「The Bridge」 2度目の緊急事態宣言下に込めた「Human Again」

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「The Bridge~歌の架け橋~」の一場面=荒井健撮影
「The Bridge~歌の架け橋~」の一場面=荒井健撮影

 「思いがより深くなり、より強まりました」。1月10日開幕した劇団四季の新作「劇団四季The Bridge~歌の架け橋~」(高橋知伽江構成・台本、2月11日まで上演中)。初日の幕が下りた後、演出をつとめた荒木美保は感慨を口にした。

 2度目の緊急事態宣言が1都3県に発令された中で迎えたJR東日本四季劇場「春」のこけら落とし公演。四季は昨年、コロナ禍で4カ月半の公演中止を余儀なくされ、この作品も本来は昨年7月に幕を開けるはずだった。

 「アラジン」や「オペラ座の怪人」といった海外ミュージカルや、「はだかの王様」「ロボット・イン・ザ・ガーデン」など、四季が上演してきた作品の珠玉のナンバーとダンスでつづる新作ショー。そんな中で、荒木が新たに加えることで今の思いを託したのが「美女と野獣」からのナンバー「人間に戻りたい(Human Again)」だった。人間から物に変えられてしまった城の召使たちが歌う歌だ。

 吉田智誉樹社長は「あの曲を聴くと、我々の失ったものの大きさを感じる。物に変えられたという状況が、今こうやって全員がマスクをしなければいけないとか、夜の会食はいけないとか、人間の自由な行動を制約しなければいけない状況とフィットする。それがあった時代のことを懐かしんで、(人間に)戻った時にはこう生きていこうという歌詞と妙に響き合う」と言葉を添える。

 「The Bridge」では、随所にちりばめられた吉原幸子の詩「ハングリー・キャッツ」の一節も深い印象を残す。<ぼくたちは 相変わらず飢えている>と、あくなき思いでひたすら高みを目指す猫=演劇人たち。1983年の「キャッツ」初演プログラムに掲載された、浅利慶太ら劇団四季創立メンバー10人の志になぞらえた詩である。だが、昨年からのコロナ禍で思うように公演ができない演劇界、そして劇場で芝居を見ることのかけがえのなさを知った観客の思いと、時を超えて重なって響く。

 演劇界は昨秋ごろからようやく上向き始めていたが、2度目の宣言で再び苦境に陥っている。今回の宣言は公演中止までは求めていないが、午後8時以降の不要不急の外出を避けるように呼びかけられ、イベントの開催も5000人以下もしくは定員の50%の少ない方という制限に逆戻りした。チケット販売の低迷や夜公演の前倒し、公演の回避など影響は小さくない。しかもイベント制限には、飲食店を対象にした協力金の…

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