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菅首相の施政方針演説 不安に全く応えていない

 通常国会がきのう開会し、菅義偉首相の施政方針演説が衆参両院本会議で行われた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、国が東京都などを対象に緊急事態宣言を再発令する中で、ようやく始まった国会だ。

 首相に求められていたのは、感染収束に向けて明確な目標を示すことであり、いつにも増して丁寧な説明をすることだったはずだ。

 にもかかわらず演説は既定方針をなぞるばかりで、国民の不安や不信に応えるものではなかった。

 演説では、昨秋の所信表明演説で力説した「コロナ対策と経済の両立」路線が薄まって、感染防止対策を優先する姿勢が目立ったのは確かだ。

 だが、日に日に逼迫(ひっぱく)している医療体制に関しては、病床確保のための助成金や、医師、看護師への支援金の上積みなど既に打ち出している策を示しただけだ。

 これで今の深刻な状態を乗り越えられるだろうか。危機感も具体策も乏しいというほかない。「ステージ4(感染爆発)を早急に脱却する」と強調したものの、その道筋ははっきりしなかった。

 そもそも首相はどんな国にしていこうとしているのか。具体像が今も見えない。それが、この危機的状況下で、国民の不安にいっそう拍車をかけていないだろうか。

 首相が目指す社会像として掲げてきた「自助、共助、公助、そして絆」との言葉も、今回の演説では消えてしまっている。

 吉川貴盛元農相が大手鶏卵業者から現金を受け取ったとして在宅起訴された贈収賄事件をはじめ、一連の「政治とカネ」の問題にもほとんど触れなかった。

 これでは政治不信は深まるばかりだろう。

 毎日新聞の世論調査では、菅内閣の支持率は33%に落ち込んだ。

 緊急事態宣言に伴う外出自粛要請など、首相のメッセージが「国民に伝わっていない」と答えた人は80%に上っている。

 国会では今後、時短営業に応じない事業者への罰則を設ける特別措置法改正案も議論となる。首相は野党の提案にも耳を傾けて、有効策を講じていく必要がある。

 何より、役所が作った文書を棒読みするのではなく、自らの言葉で訴えなければ国民に届かない。

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