福島の旧避難指示区域 農業は今…県外企業誘致、イノベーションが描く未来図と課題
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2011年3月の東京電力福島第1原発事故で避難指示などが出た福島県沿岸部で、県外企業が進出してサツマイモやコメの大規模生産を行ったり、ハイテクが導入されたイチゴなどの農産物の栽培が始まったりしている。原発周辺はいまだに風評被害のリスクも懸念されるが、一体何が起きているのか? 原発事故の爪痕が今もなお残る現場を訪ねた。【竹内良和、金寿英、関谷俊介】
サツマイモ、コメ……。福島で展開される大規模農業
福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の南約20キロにある楢葉町前原地区で20年10月中旬、約1260トンを蓄えられるサツマイモ貯蔵施設の完成式典が開かれた。主催は、貯蔵施設を町から無償で借りた大阪府の「白ハト食品工業」(永尾俊一社長)が同町に設立したグループ会社。あいさつで永尾社長は「世界で一番のサツマイモ貯蔵施設だ。心がワクワクして仕方ありません」と笑みを浮かべた。
楢葉町は15年9月に避難指示が解除。20年12月末時点の居住人口は約4000人で、震災前の半数にとどまる。原発事故の風評被害などで「福島県の農業はマイナスからのスタート」(県の担当者)となる中、町は生産から加工・販売までを手がける白ハトの誘致によるサツマイモの大規模栽培に期待をかける。
白ハトはサツマイモ菓子店「らぽっぽ」を全国で展開するほか、サツマイモ商品を全国のレストランやスーパー、コンビニなどに供給。大学イモの国内シェアは6~7割に上る。宮崎や茨城に持つ自社農場でもサツマイモを栽培しているが、近年の天候不順や海外需要の高まりから「大規模・安定生産」が喫緊の課題となっている。
そんな白ハトに声をかけたのが楢葉町。町内では…
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