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「メルケル後」のドイツ 対話と協調の政治継続を

 メルケル独首相が今秋、退任し、世界は16年ぶりに「メルケル氏なき時代」を迎える。

 米コンサルティング会社ユーラシア・グループは今年の「世界10大リスク」の9位に、メルケル氏退任を挙げた。それほど国際情勢に与える影響は大きい。

 そのメルケル氏の後継者選びが始まった。中道右派の与党、キリスト教民主同盟(CDU)は新党首に、西部ノルトライン・ウェストファーレン州のアルミン・ラシェット州首相を選んだ。新党首は首相後継の有力候補となった。

 CDUは連邦議会で、南部バイエルン州を地盤とする姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)と統一会派を組んでいる。両「同盟」は今春、首相統一候補を決め、9月26日の連邦議会選挙に臨む。

 ラシェット氏はカリスマ性を欠き、国民の人気は高くない。だが、党内左派でメルケル路線の後継者と目されており、CDUは今回、政策の継続を優先し、ラシェット氏を選んだ。

 首相候補にはCSUのゼーダー党首やCDUの若手、シュパーン保健相を推す声もある。

 1990年の東西独統一以降、首相に就いたのはコール、シュレーダー、メルケルの3氏だけだ。ドイツ政治は長期的に安定することで、欧州や世界の秩序維持に寄与してきた。

 メルケル氏は2005年に首相に就くと、前政権で悪化した対米関係を改善し、07年には欧州連合(EU)基本条約のとりまとめに指導力を発揮した。15年に難民の積極的受け入れを表明したことで批判を浴びたが、コロナ対応で再び高い支持率を維持している。

 国内では、左派「緑の党」、右派「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持が徐々に強まり、両者をつなぐ中道政党の重要性は高くなっている。

 英国が昨年、EUから離脱し、欧州の安定にドイツの貢献は欠かせない。米国の新政権誕生に伴い、トランプ大統領によって悪化した欧米関係の改善でも、ドイツへの期待はこれまでになく高い。

 誰が後継者になろうとも、新指導者にはメルケル氏が重視した、対話と協調路線を引き継いでもらいたい。それが国際社会のリスク回避につながる。

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