国際機関トップ「空白」の日本 背景に中国の台頭 試金石はUPU、獲得なるか

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記者団の質問に答える国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長(当時)=首相官邸で2018年12月18日、川田雅浩撮影
記者団の質問に答える国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長(当時)=首相官邸で2018年12月18日、川田雅浩撮影

 2021年は主な国際機関のトップを選ぶ五つの選挙が予定されている。そのうち、日本は万国郵便連合(UPU)国際事務局長に独自候補を立てた。国際機関で中国の存在感が高まる一方、日本は19年7月に国際原子力機関(IAEA)の天野之弥前事務局長が亡くなったことで31年ぶりに国連傘下の国際機関のトップが不在となって以降、今も「空白」が続く。UPUの選挙は今後を占う試金石となる。

2021年見据え、外務省が「選挙活動」

 茂木敏充外相は20年、22カ国を訪問し、各国外相らと112回、電話で協議した。重要なテーマの一つが同年11月に予定されていた世界貿易機関(WTO)事務局長選挙。政府関係者は、「茂木氏は世界で一番選挙活動をしていた」と振り返る。

 加盟国の話し合いによる全会一致を原則とするWTO事務局長選では、米国が支持する韓国と、アフリカなどが支持するナイジェリアの候補が最終選考に残った。日本はトランプ米政権(当時)とは一線を画し、ナイジェリアの候補を支持したとみられる。選挙戦ではそのナイジェリアの候補が多数の支持を獲得し、米国の政権交代後の21年2月15日に正式に承認された。

 外務省には外相をトップとする選挙対策委員会があり、国際機関の選挙日程の確認や票読み、各国との取引状況などを分析している。茂木氏がWTO事務局長選に力を注いだのは、21年の国際機関の選挙を見据えたためだ。

 21年はUPUや経済協力開発機構(OECD)などの選挙が控える。現在、中国人がトップを務める国際民間航空機関(ICAO)や国連工業開発機関(UNIDO)も改選を迎える。

 日本はそのうちUPU国際事務局長候補に日本郵便執行役員の目時政彦氏を擁立した。目時氏はUPU郵便業務理事会の議長を2期8年務めた。

 勝利すれば、IAEA事務局長を務めた天野氏以来、2年ぶりに日本人の国際機関トップが誕生する。WTO事務局長選で日本がナイジェリアの支援に力を注いだ背景には、UPU国際事務局長選をにらみ、同国をはじめアフリカ諸国からの支持を広げたいとの戦略も透ける。

大票田のアフリカが左右

 日本が国際機関のトップ獲得に熱心になったのは1980年代からだ。

 68年に国民総生産(GNP)で世界2位になった日本は途上国支援に力を注ぎ、政府開発援助(ODA)は89年と91~00年に世界1位になった。途上国への積極的な貢献を背景に国際的な支持を広げた日本は、88年に中嶋宏・世界保健機関(WHO)事務局長を誕生させ、91年には緒方貞子氏が日本人初の国連難民高等弁務官に就任。99年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長に松浦晃一郎氏が就いた。

 松浦氏は当時について「ア…

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