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コロナで疲弊する病院 現場の負担、省く支援を 神戸大大学院教授・岩田健太郎

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神戸大教授の岩田健太郎さん=本人提供
神戸大教授の岩田健太郎さん=本人提供

 新型コロナウイルス感染拡大の猛威が続く。緊急事態宣言を再発令しても、街ゆく人の数はさほど減らず、重症患者の急増で病院の病床数は逼迫(ひっぱく)する。「医療崩壊」の危機が迫る中、感染症のスペシャリストに尋ねた。神戸大大学院医学研究科教授で感染症内科医師の岩田健太郎さん(49)だ。

宣言解除に明確な基準示せ

 岩田さんといえば、2020年2月、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」でのずさんな感染症対応の実態を告発したのを覚えている人も多いことだろう。今の医療現場の実情を聞くと、こう警鐘を鳴らした。

 「全国的にコロナ患者用のベッドはどんどんなくなっていて、私が働く兵庫県でもほぼ使い尽くされている。医療現場は危機のど真ん中にあります」

 岩田さんが勤める神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)は従来、神戸市内の病院間で決めた役割分担に基づき、原則的には心臓疾患などコロナ以外で高度医療が必要な患者のみを受け入れていた。しかし、急速な感染拡大に伴い、昨年12月から重症者病床を一定数確保し、患者の受け入れを始めた。

 コロナ患者を受け入れると、その分、他の患者用ベッドは減る。従来だったら神戸大病院に来ていた他の病気の患者は、別の病院を探さざるを得ない。また、多くの患者は呼吸不全などの合併症があり、退院して自宅療養するのではなく、後方医療機関への転院が必要となる。しかし、他の病院が受け入れを拒否して退院できないケースもある。「退院できないと病床が埋まったままになり、新たな患者が入院できないという悪循環に陥ってしまう」という。

 医師や看護師の負担は重い。「重症者は高齢者が多く、寝たきりの人だとリハビリしないと身体が固まってしまうので、リハビリを行う人が必要になる。高齢者は心臓などに基礎疾患がある患者が多く、心臓の循環器の医師が(感染者がいる)レッドゾーンに入って診療を手伝わなければならない。現場で対応しないといけない人数が増え、その分、院内感染リスクが高くなっている」と明かす。

 兵庫県の受け入れ医療機関には、夜中でもコロナ患者が搬送されることがあり、医師はたえず緊張状態にある。「災害医療だと、目の前の患者を助けることが一つのゴールになるが、コロナは、いつ収束するのかというゴールが見えない。時間がたつほど、肉体的、精神的な負担が大きくなっていく」と訴える。

 岩田さんが憤るのが、国の医療機関への支援策の不備についてだ。政府は…

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