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トランプ氏アカウント凍結 「言論の自由」の観点から許されるのか

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フェイスブック(左)とツイッターのロゴ=AP
フェイスブック(左)とツイッターのロゴ=AP

 米国のトランプ前大統領の支持者が6日に連邦議会議事堂に乱入した事件を受け、ツイッターやフェイスブック(FB)などが「暴力の扇動」を理由にトランプ氏のアカウントを停止し、議論を呼んでいる。民間のサービスとはいえ、言論プラットフォームとして社会インフラ化したソーシャルメディア。運営企業が独断で公人の発信まで規制することは、言論の自由の観点から認められるのだろうか。【福永方人/ロサンゼルス支局、和田浩明/統合デジタル取材センター】

「暴力を誘発」とツイッターアカウント凍結

 まずはトランプ氏のアカウント停止の経緯を振り返りたい。

 ツイッターは6日、トランプ氏のアカウントを12時間凍結した。議事堂に乱入した支持者向けに投稿したビデオメッセージで、「家に帰ろう」と沈静化を呼びかけながらも、大統領選で不正があったとの主張を変えず、支持者への共感を示したためだ。

 解除後の7日、トランプ氏はようやく事件を非難し、大統領選敗北を受け入れるビデオメッセージを投稿したが、不正選挙説も訴えた。8日には2件のツイートで「私に投票した偉大な愛国者たちは、将来にわたって巨大な発言力を持つだろう」と述べ、20日のバイデン新大統領就任式の欠席を表明。アカウントが永久停止されたのはこの後だ。

 ツイッターは声明で理由として主に以下の点を挙げた。

 ▽就任式での暴力を誘発する可能性がある。

 ▽「愛国者たち」との表現が暴徒への支持と解釈されかねない。

 ▽将来的な武装デモの計画がすでにツイッター内外で拡散し始めている。

 一方、FBも7日、少なくとも政権移行までアカウントを停止すると発表。現在も停止されたままだ。トランプ氏の支持者が愛用し、暴力をあおるような過激な投稿が目立つ極右系ソーシャルメディア「パーラー」は、IT大手アマゾン・コムがサーバーサービス提供をやめ、11日から接続できなくなった。米メディアによると、その後、ロシア人が所有するIT企業のサービスを通じて18日から一部再開した。

親トランプ・反トランプ双方から懸念

 こうした運営企業の動きにトランプ氏の支持者からは非難の声が上がる。南部フロリダ州のフェデリコ・アランゴさん(30)は「アカウントの停止は専制的な対応だ。ソーシャルメディアはデジタルのコミュニケーション空間を独占しており、言論の自由を定めた憲法を尊重する倫理上の責任がある」と話す。

 支持者以外からも懸念の声が出て…

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