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オーケストラのススメ

音楽評論家の山田治生さんが、国内外のオーケストラの最新情報や鑑賞に役立つ豆知識などを紹介、演奏会に足を運びたくなるコラムです。

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オーケストラのススメ

~50~ コロナ禍が終息したら、聴きたいコンサート

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山田治生

2月にはマーラーの交響曲第2番「復活」を予定しているチョン・ミョンフンと東京フィル (C)上野隆文
2月にはマーラーの交響曲第2番「復活」を予定しているチョン・ミョンフンと東京フィル (C)上野隆文

 2021年がスタートした。新型コロナウイルス感染症によって世界中が大混乱に陥った2020年が終わり、本年が少しでも良い年になることを願う。本連載が50回目にあたる今回は、コロナ禍が終息したあとに、どのようなコンサートを聴きたいかを考えてみようと思う。病にある人は、病気が治ったら何をしたいかを考える。それが生きる希望と力になるから。新年を祝う〝初夢〟と思って読んでいただければ幸いである。

 新型コロナウイルス感染症を克服した暁には、まず、コロナ禍以前はあれほどオーケストラ・コンサートの中心となっていたにもかかわらず、密を作り出す大編成の曲としてプログラムから姿を消した、マーラーの交響曲が聴きたい。できれば、首都圏の九つのオーケストラによるマーラー・ツィクルスを聴いてみたい。パーヴォ・ヤルヴィ&NHK交響楽団、ノット&東京交響楽団、チョン・ミョンフン&東京フィルなど、世界最高レベルのマーラーの競演となるだろう。

 2024年は、ブルックナーの生誕200周年である。この年には、ぜひ、ブルックナー・ツィクルスを聴きたい。日本で、短期間のうちにブルックナーの交響曲の全曲演奏が行われたのは、2016年のバレンボイム&ベルリン・シュターツカペレがあるだけ。ほかに何年かかけて全曲演奏を行った例として、若杉弘&N響、飯守泰次郎&関西フィルがあるくらい。日本のオーケストラが集って全曲演奏を行うなら、飯森範親&山形交響楽団、下野竜也&広島交響楽団、そしてブルックナー演奏に特別の伝統をもつ大阪フィルは、外せない。2024年は、シェーンベルクの生誕150周年でもあるので、シェーンベルクとブルックナーの作品を組み合わせたプログラムも面白いであろう。

 そして2027年は、ベートーヴェンの没後200年にあたる。2020年は生誕250年記念のさまざまなイベントやフェスティバルがコロナ禍によって、中止されたが、2027年には、リベンジの意味でも、それらがより完璧な形で実現されることを望む。

 コロナ禍での一番の受難は、合唱である。コロナ禍が去った後、私が興行師なら、合唱付きの交響曲のフェスティバルを開催したい。ベートーヴェンの「第九」に始まって、ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」、メンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」、リストの「ファウスト交響曲」、マーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」、ヴォーン・ウィリアムズの「海の交響曲」、ショスタコーヴィチの交響曲第2番「十月革命に捧ぐ」、ストラヴィンスキーの「詩篇交響曲」、ブリテンの「春の交響曲」、黛敏郎「涅槃(ねはん)交響曲」、バーンスタインの交響曲第3番「カディッシュ」、などなど。

 そして、早く外国人の入国制限が解かれ、来日オーケストラの演奏を聴きたいと熱望する。国際的オーケストラ・フェスティバルを開催するとすれば、サロネン&サンフランシスコ交響楽団、キリル・ペトレンコ&ベルリン・フィル、ラトル&バイエルン放送交響楽団、マケラ&パリ管弦楽団、のように新しいシェフとのお披露目を集めてはいかがだろうか。

筆者プロフィル

 山田 治生(やまだ はるお) 音楽評論家。1964年、京都市生まれ。87年、慶応義塾大学経済学部卒業。90年から音楽に関する執筆を行っている。著書に、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」「トスカニーニ」「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方」、編著書に「オペラガイド130選」「戦後のオペラ」「バロック・オペラ」などがある。

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