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<楽庫(らっこ)>
前座だからなんだ あっぱれのソウル
数あるライブ盤のなか、一番カッコいい始まり方をするアルバムは何か? そう問われたら、迷わずサックス奏者であるキング・カーティスの、サンフランシスコの著名ライブ会場で1971年3月初旬に録(と)られた実況盤をあげる。
その1曲目は、7分半強の「メンフィス・ソウル・シチュー」である。熱い歓声のなか弾力あるベースの単独演奏が始められ、カーティスのくだけたメンバー紹介とともに、そこに各楽器奏者たちが次々と加わっていく。その1+1+1……という流れのもと楽器音が相乗しあい、ファンキーなサウンドが形作られる様はまさしく絶品。聴くたびに、これこそはライブの場たる美点を最大限に活(い)かした名演奏だと痛感してしまう。
当時、キング・カーティスはザ・キングピンズと名付けたバンドを率い、アトランティックソウルのハウスバンドを担っていた。そして、このライブ盤は彼らが伴奏をつけた同所におけるアレサ・フランクリン公演(それも、ライブ盤化された)の前座演奏をまとめたものであった。
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