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米国は1990年代以降、名実ともに世界一の超大国となり、国際社会から一定の敬意を受けてきた。こうした実績と栄光をトランプ政権の4年間ですべて失った。バイデン政権の誕生で米国が国際協調路線に戻り、再び世界のリーダーシップを取ろうとすることは間違いない。
しかし、米国が単純にオバマ政権以前に戻ると考えるのは誤りだ。「米国第一」という考え方はトランプ氏の独りよがりではなく、いまや米国に深く浸透している。主要20カ国・地域(G20)や世界貿易機関(WTO)など新興国や非民主主義国を含めた立場の異なる複数のプレーヤーが参加する協議体では、一致した見解を見いだしにくい欠点が明らかになっている。世界銀行のように多国籍の枠組みで新興国を支える手法にも、民主党内で懐疑的な見方が強まっている。
バイデン政権の国際協調路線はこうした米国内の構造変化を踏まえたものになる。主要7カ国(G7)のような米国と理念が一致する枠組みを利用しながら、民主主義陣営のリーダーとしての姿勢を強めていくのではないか。
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