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所変われば、事情も変わる。政権の方針や制度、歴史、慣習、地理、人々の志向の違いが、各国の経済や社会に特徴を生み出している。毎月テーマを変えながら、海外の現場を歩き、日本の実情を見つめ直していく。

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水制御、砂漠でワイン 農業の技術革新 イスラエル

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ブドウの木を斜めに植え、自然な陰影を作っている。収穫は全て手摘みという=イスラエル南部ミツペラモンで
ブドウの木を斜めに植え、自然な陰影を作っている。収穫は全て手摘みという=イスラエル南部ミツペラモンで

 イスラエル南部のネゲブ砂漠が、ワインの一大産地に変わりつつある。2010年には約5万本だったワイン生産が、テクノロジーの助けで、現在は約35万本に伸びた。砂漠化が進む世界各地の農業に可能性を示している。

 ブドウ畑の緑が、茶色の大地を流れる一筋の川のように見える。エラン・ラズさん(52)が経営するワイナリー(ワイン醸造所)「ナナ・エステート・ワイナリー」は、エジプト国境にほど近い街ミツペラモンの、強い日差しが照りつける丘の上にある。ラズさんは04年に移住し、07年にブドウ栽培を開始した先駆者だ。「はじめのうちはどの品種を植えたらいいのか分からなかった」というが、農業・農村開発省と一緒に品種選定のための実験を繰り返し、白ワイン用のシュナン・ブランや赤ワイン用のシラーやプチベルドなどが適していることを突き止めた。今では年間5万5000本のワインを生産するミツペラモン最大のワイナリーに成長した。

 農業に不向きと思われがちな砂漠だが、テクノロジーの発達などにより、実はワイン造りに最適な環境になり得ることが分かってきた。チューブを張り巡らせた点滴かんがいと、水の供給量を遠隔操作で制御するアプリを導入。雨がほぼ降らない気候は、供給量のコントロールを容易にするメリットに変わった。日中と夜間の寒暖差も、ブドウ栽培に適した条件だ。ラズさんはブドウの木に、週2回、最小限の水を与える。「ブドウの木が苦し…

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