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14日目(23日・両国国技館)
身を包む大きな拍手にも表情を変えず、千秋楽だけを見つめた。大栄翔が最終盤で単独首位に立った。初優勝の重圧にも、正面から立ち向かっている。
けれん味のない突き押しが持ち味の力士同士の一番。優勝経験もあるベテランの玉鷲相手に正面からぶつかった。「立ち合いが勝負。先に攻め続けよう」。のど輪の応酬となったが、じりじりと攻め立てる。俵に足を掛けた玉鷲に盛り返されるも、「流れで反応できた」とすかさずはたいた。土俵に一本残した左足を軸にくるりと回り、拍手を全身に浴びながら勝ち名乗りを受けた。
実力を評価されながらも優勝には縁がなかった。だが、昨年秋場所後に手術で右肘の遊離軟骨を除去すると、リハビリ直後の11月場所で10勝を挙げた。万全の鍛錬を積んで臨んだ今場所は、立ち合い、足の運び、回転のいい突っ張りと、全て歯車がかみ合ったように一段階進化した。理想の相撲は元横綱・北勝海(現八角理事長)の突き押しだという。その八角理事長は、この日の相撲を「躍動感があった。吹っ切れてきたんじゃないか」…
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