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入院を拒んだ新型コロナウイルス感染者への刑事罰を盛り込んだ感染症法改正案が通常国会に提出された。政府・与党は感染を食い止める抑止力になるとするが、憲法の定める「移動の自由」を制限する規定は、人権侵害を招く恐れも指摘される。識者2人に意見を聞いた。【聞き手・青島顕】
「運用に対する監視強化が必要」
曽我部真裕・京都大教授
政府・与党は感染症法を改正し、入院を拒否した感染者に罰則を科すことを早期に実現したい意向だという。強制力を持たせる改正が当然に違憲だとは思わないが、憲法などに由来する「作法」を踏まえる必要がある。
憲法22条1項は「居住、移転の自由」を定めており、改正案はそれに対する強い規制となる。規制が必要かどうかを検討するために「立法事実」があるのかどうかを確認すべきだ。具体的には、罰則のない現在の入院勧告・措置制度では対応できないケースが存在し、罰則導入によってそれが一定程度解決可能であることを示す必要がある。
閣議決定された改正案では、重症者等のほか、宿泊療養等の求めに応じない者に対して入院勧告・措置を行い、それに応じない者や入院先から逃げた場合に刑罰を科すことになっている。懲役まで定めているのは、このように断固拒否する者を想定しているためだと思われるが、入院できない事情がある可能性もあり、丁寧な運用が求められる。
これまで、政府・与党内で国民の目に見えにくい形で調整が進められてきたが、国会提出後は、諸論点について、公開の場でしっかり議論する必要がある。それによって、立法趣旨や解釈が議事録に明記されることとなり、それが後の運用を枠付け、乱用防止にもつながる。
規制が運用される段階では、最終的には裁判所で争いうるが、現実的には国会やメディア、SNS(ネット交流サービス)などで監視を続ける必要がある。欧州では、権利の制限が行き過ぎたときに行政の監視をするオンブズマンなどが機能しているが、日本ではそうした仕組みが弱いため、監視の機能を強化していくことも必要だ。
「エイズ予防法やらい予防法よりもたちが悪い」
八尋光…
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