輸入禁止なのに「含まれていない」として輸入? 石綿水際対策の実態
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

大手ホームセンターの「ニトリ」や「カインズ」が販売していた珪藻土(けいそうど)を使ったバスマットなどにアスベスト(石綿)が含まれていた問題には、製品が「中国製」という共通点がある。そこで「輸入」をキーワードに、石綿の水際対策の現状を調べていくと、決して珪藻土製品の問題ではないことが浮かび上がってきた。【柳楽未来/科学環境部】
石綿は鉱物の一種で、耐久性や耐火性が優れているため世界各国で幅広く利用されてきた。しかし、吸い込むと数十年の潜伏期間を経て、深刻な健康被害を引き起こすことが分かり、欧州各国では1980年代から相次いで使用禁止の動きが始まる。日本は遅れて、2006年に使用禁止にした。
中国などで利用続く
だが、世界を見渡すとアジアを中心に、いまだに使用を続けている国は少なくない。石綿が原因の労災問題に詳しい全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都)によると、今回問題となった中国は、ロシア、カザフスタンに次ぐ世界3位の石綿生産国で、国内の規制は限定的だ。18年には中国国内で約25万トンの石綿が建材などに利用されているという。
日本は労働安全衛生法で、重量の0・1%を超える石綿を含んだ製品の輸入を禁止している。仮に石綿製品を輸入しようとしても、税関の審査を通らないはずだ。ではなぜ、石綿を含むバスマットが大量に輸入されてしまったのだろうか。
製品を海外から…
この記事は有料記事です。
残り2031文字(全文2617文字)