連載

バスマットから考えるアスベスト問題

大手ホームセンターで販売のバスマットやコースターからアスベストが相次いで確認されました。この問題の本質に迫ります。

連載一覧

バスマットから考えるアスベスト問題

輸入された石綿、いまだに販売 発症は数十年後 誰もが被害者になる恐れ

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
石綿が含まれた建材で造られた建物の屋根=東京労働安全衛生センター提供
石綿が含まれた建材で造られた建物の屋根=東京労働安全衛生センター提供

 大手ホームセンターで販売された珪藻土(けいそうど)のバスマットやコースターから強い発がん性のあるアスベスト(石綿)が昨年12月以降、相次いで確認された。アスベストが含まれたバスマットが流通した背景にあるもう一つの問題は、かつて日本に大量に輸入された石綿がいまだに国内で販売されたり、使用されたままになったりしていることだ。そのような石綿が、今もなお多くの被害を生み続けている。【柳楽未来/科学環境部】

 2006年に労働安全衛生法の施行令が改正され、重量の0・1%を超える石綿が含まれた製品の輸入や使用は禁止された。ただし、日本には1970~90年代を中心に約1000万トンの石綿が輸入され、さまざまな用途で利用された。昨年11月に石綿の混入が判明した、大阪府貝塚市のふるさと納税返礼品だったバスマットやコースターは、規制強化前の01年に仕入れた成形板で作られていた。

 過去の同様の事案を調べてみると、20年だけでも、三菱重工や小松製作所が出荷した建設機械用のガスケット(配管などの接続部分の密閉に使用される部品)などに、重量の0・1%を超える石綿が含まれていたことが発覚している。厚生労働省によると、これらも06年の使用禁止前に作られた製品が流通したことが原因だった。

建材で大量流通、違法工事で飛散も

 身近なバスマットほど注目されなかったが、同じ問題はこれまでも頻発しているのだ。だが、より問題が深刻なのは既に使用されている石綿、その中でも特に被害が発生しているのが建築物に使われたままの石綿だ。

 安価で耐火性に優れた石綿は、高度経済成長期を中心に、建築物に広く使われた。代表的な用途の一つが、吹き付け加工だ。石綿にセメントなどを混ぜて耐火被覆のために鉄骨などに吹き付ける手法で、70年代まで広く利用された。経年劣化や工事ではがれ落ちて飛散する可能性があり、最も危険性が高い。また煙突などの保温材に加え、石綿を含んだ成形板やスレート板などは06年の使用禁止まで大量に流通し、今も使われたままだ。国土交通省の推計では、石綿を使った民間建築物は国内で約280万棟に上る。

 問題なのは、これらの建物が古くなり、解体や改修の時期を迎えていることだ。石綿はただあるだけでは、飛散する可能性は低い。しかし、大気汚染防止法などで定められた適切な対策を取らずに工事を行うと、周囲に石綿が飛散してしまい、吸い込んで健康被害を引き起こす恐れがある。実際、解体・改修時の違法工事がたびたび見つかっている。

 ここでは約2年前、長野県の私立保育園で起きた石綿を巡る「事件」を紹介したい。それまで石綿と関係ない生活を送っていた園児やその保護者が、突如として石綿の「被害者」になってしまったのだ…

この記事は有料記事です。

残り1405文字(全文2538文字)

ご登録から1カ月間は100円

※料金は税別です

次に読みたい

関連する特集・連載など

あわせて読みたい

注目の特集