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ジャスパー・ジョーンズは、1958年から現在に至るまで、アメリカのアートシーンの第一線で活躍する画家である。デビュー当初から射撃訓練用の標的や、星条旗、1から10までの数字など、西洋絵画の伝統を覆すようなモチーフを描き、美術界に大きな衝撃を与えた。
60年代になると、作家は自作の絵画や彫刻をもとにした版画を制作するようになる。「標的」はその典型作の一つで、もとになった絵画はセゾン現代美術館(長野県)が所蔵している。
本作に使われているスクリーンプリントという技法は、金属や木製の枠に張られたスクリーンを版として画面を構成する版画技法の一種である。ジョーンズは、スクリーンに手描きする手法で27枚もの版を制作した。それらの重なりでできた画面は、まるで紙に直接描いたものではないかと錯覚させるほど緻密だ。画面の所々にしたたるインクの表現も特色で、均質に絵柄を刷ることができるこの技法でも、「描く」ことにこだわる作家の強…
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