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パレスチナの日常=永山悦子

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パレスチナ自治区ガザ地区で、日本のNGOの支援を受けて貧しい女性たちが飼育しているヒツジ。新型コロナウイルス対策の移動制限などで、ヒツジの健康状態への不安が広がっている=特定非営利活動法人「パルシック」提供
パレスチナ自治区ガザ地区で、日本のNGOの支援を受けて貧しい女性たちが飼育しているヒツジ。新型コロナウイルス対策の移動制限などで、ヒツジの健康状態への不安が広がっている=特定非営利活動法人「パルシック」提供

 「天井のない監獄」と呼ばれるパレスチナ自治区ガザ地区。2007年からイスラエルによる軍事封鎖が続き、約200万人の住民は自由に域外へ出られず、域外からの物資も制限されている。住民の半数近くが失業状態。7割が食料に困り、人道支援に頼る。

 そのガザから、1人の女性がSOSを発している。ガザで貧困にあえぐ女性の支援に取り組むタグリードさん(43)だ。タグリードさんもガザの難民キャンプ出身で、今は3人の子どもを育てながら日本のNGO「パルシック」の現地スタッフを務める。

 男性優位のパレスチナ社会では、もともと女性の働く場が少ないという。タグリードさんたちは18年から女性たちへヒツジを配り、その生乳や乳から作ったチーズを売り、女性たちの収入につなげている。だが、新型コロナウイルス対策のため、昨年6月ごろから移動が制限され、市場も閉まり、ヒツジのえさやワクチン、薬が手に入りにくくなった。ガザでは家畜の病気が広がり始め、「女性たちのヒツジが危ない」と訴える。

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