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「生誕100年 金達寿展」(神奈川近代文学館) 再考、日本と朝鮮の縁

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金達寿氏が旅行に持参した長崎県・対馬の地図。「北端から釜山まで50㎞足らず」と書き込んでいる=神奈川近代文学館で2020年12月17日、伊藤和史撮影
金達寿氏が旅行に持参した長崎県・対馬の地図。「北端から釜山まで50㎞足らず」と書き込んでいる=神奈川近代文学館で2020年12月17日、伊藤和史撮影

 在日朝鮮人作家、金達寿(キムタルス)(1920~97年)の生誕100年展(横浜市・県立神奈川近代文学館)が興味深い。緊急事態宣言で臨時休館中だが、創作や歴史研究、政治活動を通して日本人と朝鮮人の相互理解に尽くした迫力ある生涯に触れられる。

 日本統治下の現・韓国昌原市で生まれた金氏は10歳で渡日。苦学の中で作家を志し、新聞記者などをしながら創作に励んだ。芥川賞候補作もある執筆活動の中でも、歴史研究の点で最も目を引くのは、後半生のライフワーク「日本の中の朝鮮文化」シリーズ。日本に残る朝鮮半島文化の痕跡を古代にさかのぼって踏査する歴史紀行だ。70年から21年をかけ、12巻にまとめられた。

 読んで強烈なのは、半島から渡来した人々の歴史・文化・産業的影響のあまりの濃密さだ。一例に、三重県・伊勢への旅を紹介したい(講談社文庫版第4巻、単行本は73年刊)。伊勢市の伊勢神宮からさして遠くないところに韓神(からかみ)山がある。そこには韓神社が祭られている。加えてここは、神宮の祢宜(ねぎ)(荒木田氏)代々の墳墓の地だった。

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