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ワクチンの接種体制 正しい情報提供が不可欠

 新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、体制整備の遅れを不安視する声が医療関係者らから上がっている。

 政府は米英の3種類のワクチンを、計3億1000万回分確保した。手続きが最も進んでいるのは米ファイザー社製だ。2月下旬に医療従事者への先行接種、3月には高齢者への優先接種開始を目指している。

 だが、実施を担う自治体には戸惑いが広がる。国から日程が示されないからだ。接種場所に加え、医師や看護師などの人手を確保しなければならないが、肝心の供給スケジュールが見通せない。

 政府は「全国民に必要な数のワクチンを6月までに確保する」としているが、接種計画をとりまとめる河野太郎行政改革担当相は「供給スケジュールは決まっていない」と言う。政府内で情報の混乱が起きている。

 こんな状況で、政府主導のワクチン計画を遂行できるのか。不安は尽きない。

 日本のワクチン行政は、必要と判断した個人が医療機関で接種を受ける「任意接種」が原則だ。今回のように、多人数に対して短期間に接種するノウハウは蓄積されていない。

 ワクチンに関する知識や接種会場の情報、進捗(しんちょく)状況などをネット上に集約する「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」の構築も、接種開始に間に合うかどうかが危ぶまれている。

 3種類のいずれも薬事承認されておらず、外国製のため不確定要素があることは否めない。しかし、数の確保と公平な分配、接種の着実な実施は国の責務だ。受けたいのに受けられない人が出ることや、副反応情報が放置される事態は、あってはならない。

 河野担当相は、各省庁や自治体、医療機関や輸送業者の声を吸い上げ、具体的な解決策を示すべきだ。予断や希望的観測を排除し、正しい情報を公開することは言うまでもない。

 ただでさえ、自治体は現下のコロナ感染者対応に追われている。そこにワクチン接種という大きな課題が加わった。

 問題点や目詰まりの解消を現場に丸投げし、国民の命を危険にさらすことは、決して許されない。

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