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小説「恋ふらむ鳥は」

飛鳥時代の歌人・額田王を主人公に、日本の礎が築かれた変革期の時代を描きます。作・澤田瞳子さん、画・村田涼平さん。

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小説「恋ふらむ鳥は」

/206 澤田瞳子 画 村田涼平

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「形は雀(すずめ)の癖に、羽根には針で突いたほどの色もないとは。これは祥瑞(しょうずい)の白雀だな」

 新羅(しらぎ)使がまた何事か語るのに、答〓(とうほん)春初(しゅんしょ)が盃(さかずき)を置いて駆けてくる。葛城(かつらぎ)の傍らに膝をつき、「筑紫から近江目指して出立した翌朝、宿舎に迷い込んできた雀でございます――と仰せです」とその言葉を訳した。

「珍しき鳥獣や連理木、鳳凰(ほうおう)・麒麟(きりん)・龍蛟(りゅうこう)の類いは、古来、政(まつりごと)の徳を褒めたたえる徴(しるし)でございます。新羅と倭(わ)の紐帯(ちゅうたい)を結ばんために参った私のもとにこの白雀が飛来したのも、倭王さまの徳にすがれとの天命かと。つきましてはどうぞこの鳥をお納めください」

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